こんにちは!
以前、リサーチの種類に関する記事と、リサーチ全般の考え方に関する記事を書きました。
今回は、リサーチ関連の第3弾として、現代のリサーチの基本的手法である「WEB検索によるリサーチ」について記事を書いてみます。
では、早速行きましょう!
リサーチの進め方のおさらい
おさらいになりますが、リサーチの基本的な進め方は
- リサーチの目的を確認する
- 目的を踏まえて調査項目を立てる
- 調査項目に沿って仮説を立てる
- リサーチ計画を立てる
- (リサーチをしていく)
といった感じです。
WEB検索リサーチにおいても基本的な進め方はほぼ同じですが、若干異なってきます。
詳細については先日記事を書きましたので、ご参考にしてください。
WEB検索リサーチの基本的な考え方
WEB検索リサーチの具体的な流れについてご紹介する前に、まずは基本的な考え方をご紹介します。
基本的な考え方は、「ピンポイントに探すべし」と「有力な情報源を多く知るべし」の二つです。
×広めにはじめて絞っていく、◯ピンポイントに探す
初心者がWEB検索リサーチでやりがちなミスは、
抽象的なキーワードで広めに検索し、そこからどんどんキーワードを増やして絞り込んでいこう
というものです。
例えば、「Yahoo!ニュースに記事が掲載された際に、記事を提供した会社はYahooからいくらお金をもらえるのか?」を調べようとします。
その際に、
「Yahoo!ニュース 記事 料金」で検索し、そこからさらにキーワードを追加してどんどん絞り込んでいこう
と考えてはいけません。あまりに回り道で、時間がかなりかかってしまいます。
そうではなく、
Yahoo!ニュースはおそらく記事のPV数に応じてお金を払っているんじゃないかな?
「Yahoo!ニュース PV当たり 円」で検索してみよう
とか、
Yahoo!ニュースに記事が載ったとしても、全国紙と地方紙ではYahooから支払ってもらえるお金は異なってくるんじゃないかな?
「Yahoo!ニュース 地方紙 掲載 円」で検索してみよう
といった感じで「ピンポイントの検索キーワード」を何個か考えて、それを元に検索していくようにしましょう。
簡単に見つかる情報であれば「広めにはじめて絞っていく」でも見つかりますが、探すのが難しい情報になるほどそれでは見つけるのが難しく、「ピンポイントに探す」ことが効果的になります。
WEB検索リサーチが上手い人=有力な情報源を多く知っている人
昔の私はWEB検索リサーチが本当に苦手で、
上手い人と下手な人の差はどこにあるんだろう
と悩んでいました。
そして当時の私は、
上手い人は、リサーチの一連のプロセスが効率的なんだろう
と考え、リサーチが上手い先輩にやり方を聞きにいったことがあります。
先輩は快諾してくれて、目の前でリサーチのやり方を実践してくれたんですが、とにかくその時が衝撃的でした。
その先輩は、
「各家庭に平均で何台のテレビがあるか」を知りたいのね。
内閣府の「家計調査」に載ってないかな?
とか、
「各家庭のうち何割が、テレビにインターネットを繋げているのか」を知りたいのね。
NRIの「ITナビゲーター」に載ってないかな?
といった感じで探しはじめたのです。
私は基本的に、「Googleで検索キーワードを入れて表示された結果からお目当の情報を探す」というやり方をしていたのですが、
リサーチが上手い先輩は「こういった情報なら、この情報源をまず調べる」という感じでやっていました。
つまり、WEB検索リサーチが上手い人は、使える情報源をたくさん知っている人ということになります。
世の中には「定番」と呼ばれるWEBサイトがたくさんあります。
定番のサイトにどういった内容の情報が掲載されているかを知ることで、リサーチの力は一気に向上します。
皆さんも、日々のリサーチの中で使用したWEBサイトは必ずメモしておき、似たような情報を探す時はまずそのサイトを再訪するようにしましょう。
WEB検索リサーチの進め方
では、具体的なWEB検索リサーチの進め方を見ていきましょう。
具体的には、
- (目的+調査項目+仮説を整理する) ←ほかのリサーチと一緒
- とりあえず人に聞く
- 有力な検索キーワード/有力な情報源を探すために検索する
- 有力な検索キーワード/有力な情報源を使って検索する
- 検索結果を精査する
となります。
「5. 検索結果を精査する」は後の項目で扱うこととし、ここでは2〜4番を見ていきましょう。
とりあえず人に聞く
逆説的ですが、WEB検索によるリサーチをする際は、いきなりWEB検索をはじめてはいけません。
まずは周りの人に、
XXXの情報を探してるんですけど、有力なWEBサイトとかご存知ないですかね?
と聞いてみましょう。
アンケートやインタビューなどのリサーチをする時は(当然ですが)周りの人に聞いても意味ありません。
一方、WEB検索リサーチでは、
- 過去に似たような情報を探した経験のある人
- 目ぼしいWEBサイトを知っている人
がいる可能性もあり、自分で検索しはじめる前にとりあえず周りの人に聞いたほうがいいです。
有力な検索キーワード/有力な情報源を探すために検索する
いざWEB検索を開始する場合でもあっても、いきなり目当ての情報が見つからない場合が多く、ステップをふむ必要があります。
いきなり目当ての情報を探さず、まずは有力な検索キーワードや有力な情報源を探し、それを元に調査項目の情報を検索するようにしましょう。
例えば、「Yahoo!ニュースに記事が掲載された際に、記事を提供した会社はYahooからいくらお金をもらえるのか?」を調べるに当たっても、検索キーワードとして
- Yahoo 記事配信料
- Yahoo 記事 対価
- Yahoo 記事 もらえる金額
などを使う場合、それぞれ検索結果が全然異なってきます。
検索キーワードの探し方は特に重要なので、よくあるやり方をいくつか紹介します。
検索結果から検索キーワードを洗練させていく
とりあえず自分の思いついた検索キーワードでテキトーに検索してみて、その検索結果として出てきた記事などで使われている文言を拾っていく方法です。
例えば、
最近はネットの発達により情報が溢れていて、そのせいでストレスを感じてる人が多いのでは
と考え、リサーチしようとしたとします。
そういう場合は、まずは「情報が多くて大変」と検索し、検索結果を見ていくと、
- 情報疲れ
- 情報過多
といったキーワードが出てくるので、今度はこれらの文言を使って検索すると、目当ての情報に辿り着きやすいです。
関連レポートなどの出所から探す
検索をしていると、
自分の知りたい情報にドンピシャだけど、記事に掲載されているデータが5年前のもので、ちょっと古いな…
とか、
自分の知りたい情報にドンピシャのものは中々ないな〜
似たような内容のレポートは出てきたけど…
といった感じで、”惜しい”レポートなどを見つけることがあります。
そういう場合は、その”惜しい”レポートや記事の出所を確認しましょう。
すると、
出所のWEBサイトを調べたら、最新のデータが載ってた!
となることが結構あります。
こんな感じで、古いレポートでも役に立ったりするので、「古いから確認しなくていいや」とスルーしないようにしましょう。
図書館のレファレンスも使える
図書館は「レファレンスサービス」というものを提供しています。
これは、図書館が調査のサポートをしてくれるものです。
そして、その図書館のレファレンスサービスのこれまでの記録が公表されており、非常に有用です。
これを見ると、例えば、
大正から昭和初期に、日本で公開されたアメリカ映画がどれだけ人気だったのか知りたい!
といった要望に対して、
こういう調査をして、その結果、こういうことが分かりました〜
といった回答が詳細に記載されています。
図書館のレファレンスはぜひ参考にしてみてください。
有力な検索キーワード/有力な情報源を使って検索する
検索キーワード/有力な情報源が見つかったら、それを使って本番の検索をしていきましょう。
良い検索キーワードがあった場合はそれでGoogle検索をかけますし、
有力な情報源がある場合はその公式サイトに行ってサイト内検索をかけていきます。
ここでも検索のコツはいくつかあるので、紹介していきます!
Googleの検索機能をフル活用する
Googleの検索機能には様々なものがありますので、フル活用しましょう。
例えば、
- 日付を絞って情報を検索する
- PDFなどのファイル形式を絞って検索する
などができます。
特に、「絶対に入っているであろう単語を完全一致検索する」というのはよく使うテクニックなので覚えておきましょう。
例えば、フィットネスジム業界の市場規模を調べる際、
おそらく、数千億円の規模になるだろうなぁ〜
と思ったら、”億円” という完全一致検索のキーワードを入れると、見つけやすくなります。
Googleでの検索の仕方は以前記事にしてますので、ぜひご参考にしてください。
一方で、特定の検索機能だけで検索しないように注意
「Googleの検索機能をフル活用する」と言ったものの、特定の検索機能だけを使っているとデータを見落とす可能性があるので、注意が必要です。
例えば、レポートを探すためにPDF形式のファイルを探したり、数字を探すために画像検索でグラフを探したりする場合です。
PDF形式ではなくWEBサイト上にHTMLで直書きされている場合も多いですし、
グラフ形式ではなくローデータの形で数字が「こちらからダウンロードしてください」と案内されている場合も多いです。
PDF形式のファイル検索や画像検索は非常に便利ですが、それを過信しないように気をつけましょう。
海外情報の調査時:まず日本語記事➡︎自動翻訳しながら英語記事
海外事例の調査など、海外情報を調査しなければいけない時も多いと思います。
そういう時でも、まずは日本語で記事やレポートが出ていないか確認しましょう。
例えばJETROのサイトでは、様々な海外情報が公開されていますので、まず見てみるといいと思います。
また、日本語では目ぼしい情報がなく、英語でリサーチする必要がある時も、Google Chromeの自動翻訳機能を使って日本語に翻訳してから英語で書かれたサイトを見ていきます。
日本人である以上、日本語で見た方がパッと内容を把握できて効率的だからです。
実際、米国の大学院に留学して英語がペラペラの先輩も、
リサーチの時は、翻訳機能で日本語にしてから確認してる。
そっちの方が早いから
と言ってました。
その他の「検索する上で気をつけるべき点」
その他の「検索する上で気をつけるべき点」をご紹介します。
クイックにやるところと丁寧にやるところをしっかり分ける
リサーチ初心者は、リサーチをする際に、
Google検索で30分、ビジネス誌のWEBサイトのサイト内検索で30分やろう
と計画を立て、その時間を遵守しがちですが、それはやめましょう。
リサーチ計画を立てるのは重要ですが、リサーチ初心者はその計画を厳守しようとし、リサーチを機械的に進めてしまいます。
このままGoogle検索をしていたら、知りたい情報が出てくる気もするけど、絶対出てくる保障もないから、30分経ったし次のリサーチ手法に移ろう
という感じです。
ただ、現実問題として、知りたい情報に辿り着きやすいリサーチ手法と、そうでないリサーチ手法があります。
もしリサーチをしてみて、それで知りたい情報が出てきそうなら、計画の予定時間を破ってでもリサーチは続けた方がいいです。
ヒットした記事は優先順位をつけて精読する
WEB検索をしてヒットした記事は、全て順番に精読するようなことをせず、感覚的にでいいので優先順位をつけて精読するようにしましょう。
具体的には、
- ヒットした記事を「新しいタブで開く」でズラーッっとタブに並べ
- とりあえず一通りの記事をパッと一瞬だけ見て
- 「この記事にいい情報が載っていそう」と感覚的に思う記事から精読していく
という順番でやるのがいいかと思います。
これにより、重要な記事に優先して時間を振り分けることができるようになりますし、結果的にかなりの時間を節約することができるようになります。
検索キーワード、掠っている検索結果などはメモしておく
リサーチをする際は、
- 使った「検索キーワード」
- 調べた「情報源」
- 知りたい情報にドンピシャではないけど「掠っている調査結果」
を記録しておきましょう。
これは、知りたかった情報が見つからなかった時に、
こういう検索キーワードで調べたけど、ドンピシャの情報は出てきませんでした。
一方、こういう掠った情報は出てきたので、これで代用できないでしょうか。
と上司に相談できるようになるからです。
検索結果を精査する
WEB検索リサーチをして、知りたい情報が出てきたり、もしくは何も情報が出てこない場合は、その時点で検討が必要です。
それぞれの場合の考え方についてご紹介します。
知りたい情報が出てきたとき
素直に考えて、
知りたかった情報に合致するなー
という調査結果が出てきたら、その時点でそのリサーチは打ち止めして、次のリサーチに進みましょう。
ポンポン進んでいくことが大事です。
ただし、調査結果の正確性に問題がなさそうか否かはしっかり精査する必要があるので、
- 調査対象に偏りはないか(特定エリアの人しか対象にしていない、特定のサービス利用者しか対象にしていないなど)
- サンプル数は十分か(アンケートでいうと1,000以上だと嬉しい)
- 最新のものか
は確認するようにしましょう。
知りたい情報が出てこなかったとき
リサーチしても知りたい情報が出てこなかったときは、次の一手を考えることになります。
「次の一手」はケースバイケースですが、典型的なものをご紹介します。
調査項目は変えずに、リサーチ手法を変える
これまでWEB検索をして知りたい情報が出てこなかったので、インタビューでの情報取得に切り替えるイメージです。
例えば企業の内部情報は、どれだけ検索してもヒットしないことが多いです。
そういう場合は、
WEB検索でのリサーチはもう諦めよう。
次の一手として、調査対象企業のOB/OGにインタビューして、情報を教えてもらおう!
と方向性を切り替えたりします。
リサーチ手法は変えず、調査項目を変える
理想的な調査結果が出てこない場合、調査項目を緩めることもあります。
例えば、
- 業界全体の平均値を探したが見つからないので、その業界の代表企業の実績値を代わりに用いる
- 定量データで傾向を確認したかったが見つからないので、個別事例をたくさん見つけて、見つけた事例の中での傾向をみる
- 国別数値を探したが見つからなかったので、EUなどの地域別の平均値を使う
などがあります。
欲しい調査結果が出るまでリサーチを継続することが理想ではあります。
とはいえ、現実問題として予算制約や期間制約があるので、それらとの兼ね合いで「この程度の調査結果で良しとする」と判断せざるを得ない場合があります。
オススメの書籍
WEB検索によるリサーチを勉強する上でのオススメ書籍は以下です!
『社会人1年目からの 「これ調べといて」に困らない情報収集術』
『調べるチカラ 「情報洪水」を泳ぎ切る技術』
ぜひご参考にしてみてください!
リサーチ関連の記事
ほかにもリサーチ関連の記事を書いていますので、参考にいただければ幸いです。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
お仕事などの参考になれば幸いです!