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【初心者向け】会議の仕切り/ファシリテーションのコツ

こんにちは!

今回は会議の仕切り方、つまりファシリテーションのコツについてご紹介します。

理想的な会議の進め方についてはグループディスカッションを例にして以前記事を書きましたが、今回は

あなた

進め方は合意した!

さて、どうやって意見を引き出し、内容をまとめていこうかな?

というシーンの乗り切り方について取り上げてみたいと思います!

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では、早速いきましょう!

前提:一番大事なのは「会議の進め方」を合意すること

以前の記事でもご紹介した通り、会議を成功させる上で一番大事なのは「会議の進め方をまずは考え、合意する」に尽きます

具体的には、

  1. アジェンダ(=議題)をきちんと整理し
  2. アジェンダごとに今回の会議のゴールを明示し
  3. ゴールに到達するまでの進め方を検討・合意する

という流れを会議のはじめに挟むことになります

例えば、あなたが居酒屋チェーンの会社員で、「ここ一年間売上が減少しているので対策を考える」というアジェンダの会議に出席した場合は

ファシリテーター

今回の会議では、売上低迷の原因まで特定することにして、打ち手をどうするかの議論は次回に回しませんか?

その会議のゴールを合意した上で

ファシリテーター

「売上低迷の原因は何か?」が今回の会議の主論点ですが、これをブレイクダウンし、

  1. ここ数年のチェーン店全体の売上推移はどうなっているか?
    今回問題になっている「売上の減少」とは具体的にどの程度か?
  2. 売上減少が生じている領域はどこか?
    ・店舗ごとに見ると、どの店舗の売上減少が大きいか?
    ・メニュー別に見るとどの売上が減っているのか?
  3. 売上減少領域が発生している原因は何か?

というプロセスで議論を進めるのはいかがでしょうか?

各プロセスにおいて出席者の方々が持っている情報を適宜共有いただく形にしましょう!

ゴールに到達するまでの進め方を合意することになります。

以上を前提とした上で、今回の記事では

ファシリテーター

進め方は合意した!

さて、どうやって意見を引き出し、内容をまとめていこうかな?

というシーンにフォーカスしてご紹介できればと思います!

会議の場面分け

会議といっても場面が様々ありますので、それを区分した上で、区分ごとにポイントをご紹介したいと思います。

「進め方を合意した」後の会議のプロセスとしては、

  1. 意見・情報を出してもらう
  2. 意見・情報を整理する
  3. 結論をまとめる

が一般的だと思いますので、以降はそれぞれのプロセスを取り上げ、その際の重要ポイントを挙げていきます

意見・情報を出してもらう

会議では、合意した進め方に沿って参加者に意見を言ってもらったり、関連情報を提供してもらうことになります。

その際は、基本的に、ファシリテーターが参加者に問いかけをして意見・情報を引き出すことになります。

この場面の問いかけは、インタビューなどでの質問と似ているので、インタビュー時の質問票作成の考え方が転用できます。

【初心者向け】定性分析の王道プロセス「インタビュー」のコツ こんにちは 前回、定性分析に関する記事を書きました。 https://nokominzoku.com/howtocondu...

ただし、会議で特に重要なポイントが何点かありますので、ご紹介していきます。

回避すべき失敗は、「ゴールに未達」ではなく、「意見が出ない」

時々見るシーンとして

ファシリテーター

私としてはXXXXと考えてます!

とファシリテーターが自案をまず話し

参加者

確かにそうかもね〜

と、なんとなく参加者が合意する、というものがありますが、これは極めて危険です。

なぜなら、その時はそれでスムーズに進んでも、

  • 結論を出すタイミング
  • 実際に実行に移すタイミング

で必ず

参加者

なんでこんなことになっているんだ!

俺は納得していない!

と反発が出てきます。
それに対して

ファシリテーター

あの時は特段意見を言わなかったじゃないですか

と(正論を)言ったとしても、

参加者

「そういう方向性も可能性の1つとしてあるよね」という意味で反発しなかっただけで、結論がこれになること自体には賛成していない!

もっと意見を言うタイミングをもらえると思った!

と言われてしまいます。
そこで、

ファシリテーター

知らんがな

その場で意見を言わなかったお前が悪い

と進めてしまいたい気持ちになるのはわかりますが、強引に進めても実行時に協力を得られずに頓挫してしまうのが関の山です。

特に公務員の場合は、民間企業よりもこういうシーンに遭遇することが多いでしょう。

こういうことが無いように、意見は必ず出し切ってもらうようにしましょう。
会議において絶対回避すべき失敗は、「ゴールに到達しない」ではなく、「意見が出ない」です。
特に「反対の意見」、「なんでそうなるの?おかしくね?」という意見が重要です。

質問を工夫して、

ファシリテーター

しいて懸念点を出すとしたら、どの部分ですか?

反発する人が仮にいるとしたら、どの部分を問題に感じるでしょう?

と強引に意見を出してもらうのは一つの手です。

また、その場であまりに意見が出なかったら、

ファシリテーター

いきなり「意見が欲しい」と言われても難しいかもしれませんので、次回に持ち越して、改めて意見を伺う感じにしましょう

としてしまっても良いでしょう。
あらかじめ設定したゴールを破棄してしまうということです。

現実問題として、結論を出す〆切もあるでしょうし、会議の仕切り直しは難しい場合も多いかもしれませんが、そのくらい「意見を出し切る」ことは重要です。

意見が出るようにあらゆる手を尽くすようにしましょう。

×全員に満遍なく振る、○然るべき人を深掘る

前述の通り、会議では意見を出し切ってもらう必要があるのですが、では出席者全員が満遍なく意見を出せば良いかというと違います

大事なのは、アジェンダごとのキーパーソンに意見を出し切ってもらうことです。

例えば、カネ周りの話であれば財務部などの人はキーパーソンになりますし、販売方法を変えようとしているならば営業部や販売店などの現場を持っている部署の人がキーパーソンになります。

また、「社長」のようにどんなアジェンダでもキーパーソンになる人もいます。

アジェンダごとに「キーパーソンが誰か?」を考え、

ファシリテーター

今、「モーニングセットを出すべき」という意見が出ましたが、実際に各店舗の現場を監督しているAさんとしてはどう思いますか?

とファシリテーターは話を振っていく必要があります。

発言すべき人が黙っているならば、ファシリテーターは意見開示を促さなければいけません
逆にいうと、アジェンダ的に重要でい人が発言していなくても、わざわざ促す必要はありません
促してる時間をキーパーソンの意見の時間に充てた方が投資効率がいいからです。

蛇足な会話も一定許容しつつ、大きく外れたら軌道修正する

会議をやっていると、アジェンダとはあまり関係ないことを話し出す人はどの組織にもいますよね。

ただ、その何気無い会話がアイスブレークになって、どんどん参加者が発言し出す場合もあるので、多少アジェンダに沿っていなくても目くじらを立てる必要はありません

ファシリテーターがいちいち「それって論点からズレてますよね?」と指摘してたら、参加者が萎縮して発言しなくなってしまいますしね

ただし、あまりに脱線が続くようなら、ファシリテーターが軌道修正する必要があります

雑談を止めるだけであれば、

ファシリテーター

雑談はこれくらいにして、そろそろ本題に入りましょうか

と仕切るくらいで済みますが、面倒なのは「雑談ではないけど、論点からズレている話がずっと続いた時」です。

例えば、「どの店舗の売上が減少しているのか?」という話をするはずなのに、

参加者

売上減少を止めるためには、チラシが重要なんだ

みたいなことを延々と話されている時です。

こういった「雑談ではないけど、論点からズレている話がずっと続く」という状態をどう修正すればいいでしょうか?

一つの選択肢としてあるのは、

ファシリテーター

今後そういった意見をいただく機会を用意していますので、一旦話を戻しますね

と仕切ってしまうことです。
ただ「論点とズレてますよ」と指摘するだけだとシラけてしまう可能性がありますが、「あなたの意見は貴重だから、後でしっかり聞かせてね」とすると、比較的マイルドに軌道修正ができます

また、類似パターンとして、ピントのズレた指摘や質問をもらった時は、

ファシリテーター

会議の時間も限られているので、後でまとめて回答しますね

といって、議論を進めてしまうことも有効です。
その上で、「重要そうなご指摘・ご質問から回答すると〜」といって後回しにしてしまうと比較的スムーズに着地できます

なお、「そもそも発言にカットインすることが難しい」ということもあるでしょう。

ファシリテーター

ファシリテーターなので「変な議論は止めなければいけない」という気持ちは持っている。

一方で、偉い人がベラベラしているところで、急に「それは後でいいですか?」と割って入ることはシンドイ

という気持ちも分かります。

その際にオススメなのは、「相手の話に沿ってカットインして、相手の意見に関するキャッチボールをした後に、軌道修正する」という技です。

イメージとしては

参加者

売上減少を止めるためには、チラシが重要なんだ

と偉い人が(ズレた論点で)延々と話している時に、「今後そういった意見をいただく機会を用意していますので、一旦話を戻しますね」といきなり軌道修正するのではなく、

ファシリテーター

すいません!

より理解を深めるために前提を確認させていただきたいのですが、部長がおっしゃってる「チラシ」というのは、新聞の折り込み広告というよりも、道端で配るイメージで合ってますか?

参加者

そうだね。道端で配るパターンもあれば、ポスティングするパターンもあると思ってます。

ただ、今の時代は新聞の折り込み広告はイマイチだと思うな。

ファシリテーター

確かにそうですね!ありがとうございます!

今後そういった意見をいただく機会を用意していますので、一旦話を戻してよろしいでしょうか?

おっしゃる通り、チラシは有効な打ち手の一つだと思いますので、改めてお時間をいただければと思います。

とする感じです。

こうすることで、「話を急に遮られた!」という印象を和らげながら、軌道修正することが可能となります。

私も仕事の場では多用している技です。

ぜひご活用してみてください!

ポジショントークは仕方ないが、「批判だけ」は許すな

会議では様々な部署の人が集まる場合が多く、発言がポジショントークになってしまうことがよくあります

そう言った場合は、

  • 社長からはどんな意見が出てきそうですか?
  • 顧客はどう感じますかね?

といった「視点を変える」問いかけによって、一定緩和することが可能です。

ただそもそも、ポジショントークになってしまうこと自体は、一定仕方ない部分があります。

財務部の人に「会社全体の視点に立って発言して!」と言っても、会議が終わったらその人は財務部の席に戻るわけですから、完全にポジショントークを排除することは不可能です。

逆に、その立場から言うべきことをしっかり言ってもらわないと、それこそ結論を出す時や実行に移す時にハレーションが起きてしまいます。

完全にポジショントークを排除した会議をしたいのであれば、会議の参加者を人事異動させ、「全社視点での検討チーム」を本籍とさせた上でやるべきかと。

ファシリテーターとしてはポジショントークになるのは一定許容する必要がありますが、一方で「批判だけ」の意見は絶対許してはいけません。必ず対案を求めましょう。

時々、

参加者

私はアイデアを出すよりも、出されたアイデアを精査する方が得意だから、そちらに集中したい

みたいなことをいう人もいますが、それを許容してはいけません
なぜなら、

  • 具体的なアイデアを考えている人と
  • アイデアに対する批判だけをする人

では、当事者意識にどうしても差がでてきて、合意を取るのが難しくなるからです。

例えば、カフェチェーンの売上回復施策を考えている会議で、

参加者

売上回復のためにモーニングセットの提供を開始することは反対です!

朝の時間帯は、現場の店舗スタッフのシフト人数も少なく、オペレーション的に厳しいです!

という「批判だけ」の意見が出たら、

ファシリテーター

なるほど。

では、売上回復のためにはどうしたらいいと思いますか?

対案はなんですか?

とすかさず確認しましょう。
大抵は、

参加者

いや、問題点に気づいたから指摘しただけであって、対案はまだないです

という回答が返ってきますが、それでいいのです
「対案はまだない」と本人の口で言わせることが大事なのです。

そうすることで、「批判だけ」の意見を出した人も、

参加者

どうすればいいのだろうなー

と自然と当事者意識を持って考えてくれるようになっていきます。

意見・情報を整理する

ファシリテーター(または書記役)は、参加者に意見・情報を言ってもらいながら、それらのコメントをホワイトボードなどで整理していくことになります。
最近だと、PCの画面共有をして、板書代わりにPPTやWordに書き込んでいくパターンもありますね

その際に重要なのは、

  1. 出してもらった意見・情報を記録するための整理と
  2. アジェンダ/論点に沿った整理

という2つの整理軸を切り分けて考えることです。

なお、ファシリテーターなどが、事前に分析した資料を持ってきて

ファシリテーター

これを叩き台にして検討しましょう!

というパターンの会議の場合は、上記の切り分けは意識しなくて大丈夫です。

なぜなら、事前に作成した資料が②の整理軸で作成されているはずだからです。

例えば、居酒屋チェーンの売上減少要因を突き止めるため、とりあえず関係者を集めて「どの部分の売上が減っているかを議論しましょう」となった際は、

  • エリア × 商材のマトリクス
  • 時間帯 × 店内/テイクアウトのマトリクス
  • 来店者数 × 一人あたり単価のブレイクダウン

等が最終的に必要になる整理軸になるはずです。
その上で、

参加者

関東での売上の落ち込みが大きいね

とか

参加者

昼のランチタイム売上の落ち込みが大きいね

とか

参加者

来店者数はそこまで変化してないけど、一人当たり単価の落ち込みが大きいね

といったことを判断していくことになります。

ただし、会議でいきなりここまで綺麗な整理軸を設定することは難しいです。
なぜなら、誰がどんな情報を持っているかが明確になっていない状態でスタートするからです。

はじめから

ファシリテーター

エリア × 商材のマトリクスで整理していきましょう!

と言っても、

参加者

競合他社がセールを連発していることが売上減少の原因だと思ったのですが…

これってエリア × 商材のマトリクスではどこに当てはまるのでしょうか?

みたいな発言が必ず出てきて、「一旦その情報は後回しで」ということになります。
そうではなく、

  1. 出してもらった意見・情報を記録するための整理と
  2. 分析のための整理

を切り分けて考えましょう。

具体的には、まずは参加者に意見・情報を出してもらい、3Cなどの”余白の大きい”フレームで整理していきましょう
究極的には、整理せずに箇条書きでもいいくらいです

先ほどの例でいうと

ファシリテーター

3Cの「自社」に関する意見・情報として、

  • 関東の売上が減っている
  • 昼のランチタイム売上の落ち込みが大きい

がありました。

また、「競合」に関する意見・情報として、

  • 競合他社がセールを連発している

がありました

といった感じで、まずは意見・情報を出してもらい、それを並べていきます。
その上で、

ファシリテーター

では、今回の主論点は「どの部分の売上が減っているか」ですので、そのための整理をしましょう。

頂いた情報を元に整理しましょう。

頂いた情報を踏まえると、エリア × 時間帯の切り口が良さそうですね

と、論点に対する結論を導くための整理軸を整理していくことになります。

叩き台となる資料を事前に準備できない会議でファシリテーションする際は、ぜひこの考え方をご活用いただければと思います。

結論をまとめる

最後に、結論のまとめ方になります。

議論していく中で、自然と結論がまとまって合意できれば最高ですが、まぁそんなことはまず起きません
議論が白熱すればするほど、沢山の意見が出ていることになりますので、まとめるのも一苦労です。

ちなみに、 政治的な対立や企業間での取引などでは、意見が真っ向からぶつかった場合は、基本的に交渉になります

交渉者

この点を譲るから、あの点はこっちの意見を受け入れてほしい

とアメを使って誘導するか

交渉者

そこまで言うなら、御社との取引はもう結構です!

とムチを使って圧力をかけるか、という世界になります。
交渉については以下の記事をご参照ください。

【初心者向け】交渉・調整の基本的な考え方 こんにちは! 今回は交渉・調整の技術についてご紹介します。 公務員の仕事は「板挟みになってからが本番」と言われるくらい "...

一方で、社内会議の場合は、論理的に擦り合わせることが基本になります。
社内会議で毎回交渉なんてやってられないですし、意見対立が深刻化したら究極的には社長が裁定をすればいいだけだからです。

そして社長の裁定に従わない部門長がいたら、解任されることになります。

とはいえ、意見対立が起きるたびに毎回社長に諮るわけにも行かないので、ファシリテーターとしては論理的に意見を擦り合わせる方法を理解しておく必要があります。

多様な意見が沢山出てきた中で、結論をまとめるのはかなりシンドイと思いますが、以下のポイントを頭に入れておくと、難易度がグッと下がると思います。

では、ポイントを見ていきましょう。

いきなり全ての意見を扱おうとするな。重要なものだけ選別せよ

結論をまとめるポイントの1つ目は、「いきなり全ての意見を扱おうとするな。重要なものだけ選別せよ」という考え方です。

上記では「議論が纏まらない=意見対立している」という前提で話していましたが、他の「議論が纏まらない」典型的なケースとして、「意見が出過ぎて、とっ散らかってる(「意見対立」云々の前に、意見が錯綜して統合できない)」というものもあります。

そして、「重要なものだけを選別する」という考え方は、

  • 意見が出過ぎて、とっ散らかってるケース
  • 意見が対立しているケース

のいずれに対しても有効です。

まず、「意見が出過ぎて、とっ散らかってる」という状況がなぜ起きるのかというと、はじめから全ての意見を盛り込もうとするからです。
ファシリテーターがどんなに頭のいい人でも、はじめから全ての意見を盛り込もうとしたら上手くいきません
この点については以前「複雑な検討での論理展開の考え方」の記事でも解説しました。

【初心者向け】複雑な検討での論理展開の考え方 こんにちは! 今回は、論理展開の基本的な考え方として、「論理展開の決め方」をご紹介します。 変数が多くて複雑な検討をする際...

そうではなく、意見のうち重要な観点のものから、順番にピン留めしていきましょう
変数が多すぎると結論が纏まらないので、重要な変数から固定していくことになります。

例えば、カフェチェーンの売上向上を検討している場面で、打ち手が

  • チラシなどの広告を打つ
  • SNS映えする新商品を開発する
  • リモートワークのビジネスマンにクーポンを配る

など色々出てきていたとしたら、これをそのまま纏めようとはせず、

ファシリテーター

売上向上策として色々出てきましたが、まずはどの客層をターゲットにするか決めませんか?

と重要な観点の結論を纏めようとします。

そして、重要な観点がピン留めできたら、あとはそれと整合が取れるように他の観点の結論を出していけばいいのです(ここでも重要な観点順で片付けていきましょう)。

結果として、

参加者

広告を打つべきか、新商品を開発するべきかで意見対立が起きてたけど・・・

でも、ターゲットを「リモートワークのビジネスマン」に設定するとしたら、そもそも現在の”10時開店”が一番の問題なんじゃね?

始業時間より早めに開店しないと、リモートワークのビジネスマンの選択肢に入ってこないでしょ・・・

といった感じで、意見対立自体が立ち消えることも多いです。

意見が割れたら、「意見」自体を比較しても結論は出ない

意見をまとめるため重要な観点のものから順に結論づけようとしても、その重要観点で意見対立が起きることがあります。
というか、重要な観点だからこそ、意見提出者は簡単に妥協できず対立が発生することになります

ここでファシリテーターが理解しておかなければいけないことは、「意見が割れたら、「意見」自体を比較しても結論は出ない」ということです。
これが2つ目のポイントです。

まず、選択肢AとBで意見対立が起きているとして、Aの方が明らかにBより優れた選択肢であることはまずありません。
そんな状況なら、そもそも意見対立は起きてないです。

このため、意見対立が発生したときは、

ファシリテーター

どちらの選択肢も一長一短あるなぁ

というケースがほとんどです。
したがって、意見自体を比較しても一生結論は出ません。

こういった場合、あなたがファシリテーターならどうしますか?

対策を考える上で、意見対立の身近な事例を考えてみましょう。
ずばり、「今度の飲み会は、和食にするか、中華にするか」問題です・

課の新年会の幹事をあなたがすることになりました。
忘年会は洋食だったので、新年会は和食か中華だろうと思っています。
そして、「和食がいいなぁ」、「中華がいいなぁ」という人たちがそれぞれ一定数います。
幹事のあなたはどうやって結論をまとめますか?

先に説明した通り、

ファシリテーター

和食と中華を、味、栄養、料金の観点から比較すると・・・

といった感じで、選択肢自体を比較しても、100%結論が纏まらないことは容易に想像がつくと思います。

こういう場合の決着のつき方は、

ファシリテーター

正月は皆和食を食べただろうから、新年会では中華にしましょう

だとか

ファシリテーター

今年度で退職する○○さんの好物が中華らしいので、中華は送別会に取っておいて、新年会は和食にしましょう

といった感じじゃないでしょうか?
場合によっては、

参加者

和食と中華、それぞれ予約してみて、良い個室が取れた方に決めたら?

という決め方もあると思います。

このケースから分かる通り、意見対立をまとめるやり方としては、

  1. 意見同士を比較するのではなく、現在置かれている状況と照らして判断する
  2. 「結論の出し方」の合意を取り、それに沿って判断する

の2つがあります。

意見同士を比較するのではなく、現在置かれている状況と照らして判断する

1つ目の「意見同士を比較するのではなく、現在置かれている状況と照らして判断する」ですが、これは非常に汎用性が高いです。

ビジネスの意見対立の例でいうと、典型的なのは「利便性を取るか、セキュリティを取るか」といったものです。
例えば、銀行のWebサイトでオンライン残高照会をする場合、ログインの手続が非常に煩雑となっています。口座番号やパスワード、OTP認証、合言葉などが必要になってきます。

このような状況で、

参加者A

もっと手続を簡素化して、ユーザーの利便性をあげるべきだ!

という人たちと、

参加者B

セキュリティの観点から、手続の簡素化はダメだ!

という人たちの意見が対立している場合どうしますか?
こういう場合は

ファシリテーター

業界全体が固定費削減のために窓口対応からオンライン手続へのシフトを推進しているじゃん

うちの会社も追随してオンライン手続を簡素化しないと、全体の流れと逆行して、差がついちゃうよ

とか

ファシリテーター

うちの会社は先日システム障害で記者会見やったばかりじゃん

この状況下でセキュリティを毀損しかねない行動はするべきじゃないでしょ

といった感じで結論をまとめることになります。

“結論の出し方”の合意を取り、それに沿って判断する

2つ目の結論の出し方”の合意を取り、それに沿って判断する」については、有効ですが結構難易度が高いです。

ビジネスの意見対立の例でいうと、例えばM&Aの買収先候補が2つあり、

  • A社は今後5年間の利益が大きそう
  • B社は今後5年間の利益がそこまで大きくはないが、既存事業とシナジーが大きそう

といった意見対立が起きている場合、

ファシリテーター

結局、B社とのシナジーでうちの会社の利益がどれだけ増えそうかを算出しないと判断できないな

という話になり、詳細な収支シミュレーションをする、といった感じです。

つまり、「収支シミュレーションをして、シナジーがXX億円を超えそうならB社を買収し、それ以下ならA社を買収する」といった”結論の出し方”を合意してしまうことになります。
一方で、実際問題として、簡単に収支シミュレーションできるのなら意見対立が深刻化する前にやっているはずですし、このシミュレーションは困難を極めたりします

ただし、意思決定のベースとなる情報がギリギリまで変動する場合などは、「結論の合意を取る」よりも、「”結論の出し方”の合意を取る」方が優れた判断をできる可能性があります。

「”結論の出し方”の合意を取る」が一番多用されているのは、おそらく政治の世界です。

例えば、

ニュース

自民党XX派は、総裁選での派閥としての投票先を派閥会長に一任することを決定しました

みたいなニュースはよく耳にすると思います。
これは、総裁選のような場面では、立候補者が

総裁候補

総裁選では私に投票してください。

投票してくれたら、おたくの派閥から財務大臣を出すことを約束します。

といった交渉を各派閥の会長にしているため、派閥会長にもっとも情報が入り、また常に情報が更新されていきます。
なので、

政治家

派閥の皆で決めるより、交渉の進捗を踏まえて派閥会長が決めた方が、いい結果になるだろう

という判断が働いていることが理由の一つと思われます。

オススメの書籍

今回の記事に関連したオススメの書籍は以下の通りです。

『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』

おわりに

いかがでしたでしょうか?

お仕事の参考になれば幸いです!

また、会議の準備段階についても記事を書いてますので、ぜひご参考にしていただければ!

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