ケース問題

ケース問題の具体例:救急車を有料化すべきか?

こんにちは!

今回も初心者向けにケース問題の具体例を紹介したいと思います。

お題は「救急車を有料化すべきか?」です。
15分ほどで検討してみました。

いつもの「売上を2倍に」系ではなく、政策的な題材ですので、

ある人

なんかフェルミ推定とか「売上2倍に」系のケース問題を見ても、ピンとこないんだよなー

と感じている公務員とかの方にも仕事の参考にしていただけるかと!

では、いきましょう!

はじめにアウトプットイメージを

ケース問題を解き始める前に、まずはアウトプットイメージを持ちましょう。

今回のお題は救急車を有料化すべきか?」ですが、最終的にどういったアウトプットを出せばいいでしょうか?

あなた

え?
「救急車を有料化すべきか?」にYesかNoかを出せばいいんじゃないの?

と思っている方も多いと思いますし、実際それは間違いではないのですが、もっと大事なのはYes/Noを出す根拠です。

この手の正解がない検討の際は、”メリデメ表”を作ることが基本になります。

なので、最終的なアウトプットは、「Yes/Noのメリデメ表 + 自分の意見(Yes/Noどちらと考えるか)」になります。

メリデメ表については先日記事を書きましたので、ご参考にしてください。

【初心者向け】メリデメ表/プロコン表の考え方・作り方 こんにちは! 今回はメリデメ表の考え方・作り方についてご紹介します。メリデメ表は、プロコン表とも言われますね。 基本的な内...

では検討に

まずは、メリデメ表の最終的なまとめ方をざっくりと考えましょう。

メリデメ表の「選択肢」の部分と、「評価軸」の部分を考えると大枠ができるので、検討がしやすくなります

「選択肢」の部分

選択肢は、救急車を有料化する」「救急車を無料のままにする」の2つですね。

なお、こういった場面で、選択肢を「A」と「not A」としてしまう人が多いです。
今回の場合は、「救急車を有料化する」と「救急車を有料化しない」とするイメージですね。

これは間違いではないですが、理想を言うと、選択肢は「A」と「B」と言う形にした方がいいと思います。
つまり、「not A」の「救急車を有料化しない」ではなく、「B」の「救急車を無料のままにする」とした方がいいです。

理由としては、そちらの方が検討も議論もしやすいからです。

今回の場合は「救急車を有料化しない」と書いても、

ある人

つまり、「救急車を無料のままにする」ということね!


と皆に通じると思いますが、事象が複雑になるほど「not A」の書き方だと混乱が生じる可能性があるので、要注意です。

「評価軸」の部分

次は評価軸ですね。
どういった評価軸で整理するべきでしょうか?

私は一旦、「効果×実行難易度」で置きました

ここは緻密に考えることもできるのですが、あまり細かく考えても、”交点”の検討結果に応じて大枠(評価軸の部分)を修正することになるので、一旦はこのくらいの粒度感で設定し、どんどん検討を進めていけばいいと思います。

交点部分の検討

メリデメ表の選択肢と評価軸が一旦決まったので、交点部分を詳細に検討していきましょう。

「効果」の列

「効果」の列は、社会への影響という観点で、いい効果と悪い効果があります

ここの検討はこのケース問題の肝になると思われるので、後ほど詳細を説明します。

「実行難易度」の列

「実行難易度」の列ですが…

  • 「救急車を無料化のままにする」は、現状どおりなので、実行可能性は基本的に空欄でいいでしょう。
    ただ、人口減少&少子高齢化が進み、今後無料の維持が難しくなる可能性については言及してもいいかもしれません。
  • 「救急車を有料化する」については、更に導入時と運用時に分けて検討しましょう。
    導入時「法改正が必要であり、相当のリソースを投入する必要がある」「有料のため請求管理などを新たに始める必要があり、システムや人員が新たに必要になる」
    運用時については、「有料化により収入が発生しコストを一部補填することができる」といった要素は入れる必要があるのではないでしょうか。

上記を踏まえ、評価軸の切り方を若干修正しましょう

「実行難易度」は、「効果」に比べると重要度は下がるので、検討はこのくらいにして、「効果」の検討に移りましょう

なお、実務でのメリデメ表作成においては、

  • 有料化で想定される収入額
  • 請求管理業務の導入により新たに発生する費用

を具体的に算出し、プラマイがどうなるかを詳細に検討することになります。

良い効果・悪い効果としてどういったものがあるか

前述した通り、「効果」部分は、社会への影響という観点で、いい効果と悪い効果があります。

では、選択肢ごとに効果を考えていきましょう。


「良い・悪い」という場合、「誰にとって良い・悪いなのか」を設定する必要がありますが、今回はまずは「社会にとっての良い・悪い」を考えるべきでしょう。

「消防士にとっての良い・悪い」などを考えることもできますが、優先順位は低いと思います。

救急車を無料のままにする」の効果

「救急車を無料のままにする」の効果は、現在言われていることを記載するといいでしょう。

  • 軽症にもかかわらず救急車を呼ぶ人が多いせいで、ガソリン代などの本来不要なコストが発生している。
  • また、軽症患者に救急車が出動しているせいで、真に救急車が必要な重症患者への救急車の割り当てが遅くなる可能性がある。
  • 搬送先の病院も、軽傷者の対応で本来不要な負担が生じる上、本来優先されるべき患者が後回しにされる可能性がある。

などでしょうか。

ここら辺は現実をベースにしている話なので、考えれば何となく想像がつくと思います。

「救急車を有料化する」の効果

問題は、まだ現実には生じていない「救急車を有料化した場合の良い効果・悪い効果」です。

どのように「効果」を検討したら良いでしょうか?
アプローチ方法を考えてみましょう。

よくあるアプローチは、「具体的なパターンを場合分けして、それぞれ考えてみる」というものです。

つまり、

  • まずは「一般ユーザーの一般的な利用シーン」を基本パターンとして検討し、
  • そのパターンからズラしながら別の事例を用いて更に検討していく

という形になります。

製品やゲームなどの設計者になりきって、どんなパターンがあるか思考実験してみましょう。

ちなみに、

  • 国家公務員が法律改正をするときに行う「限界事例」
  • システムエンジニアがアプリ開発時などで行う「正常系テスト/異常系テスト」

も、これとほぼ同じ考え方です。

では、順番にやってみましょう。

基本パターン

まずは基本パターンである「一般的な人が体調を崩し、救急車を呼ぶ場合」です。

検討する際は、救急車を呼ぶプロセスを切って、それに沿って考えるのが丁寧で良いと思います。

具体的には、一般的な人が体調が崩し…

  1. 救急車を呼ぶ状況になる
  2. 救急車を呼ぶ
  3. 救急車が来て搬送される
  4. 病院で治療を受けて、回復する(もしくは亡くなる)
  5. 救急車を呼んだ料金を払う

というシーンを経る際に、それぞれどんな良い効果/悪い効果があるかを検討します。

社会にとっての良い効果/悪い効果を洗い出すと…

  • まず、一般論をいうと、有料化により真に必要な人に救急車が割り当てられる可能性は、高まると思います。
  • 一方、有料化により、救急車を呼ぶことに躊躇し、病状が深刻化するおそれがあります。
  • また、体調不良で救急車を呼んだものの救急車が到着する頃には症状が落ち着いた場合、料金を払いたくないため、ドタキャンする人が一定数いる気がします。

といった感じかと。

次に、基本パターンからズラした別の事例を用いて更に検討していきましょう

別のパターン

基本とは異なるパターン1

基本とは異なるパターン1は、「制度を悪用しようとする人がユーザーだった場合」です。

救急車が有料化された場合、制度を悪用しようとする人は、居直って救急車をタクシー扱いしかねないと思います。

ここら辺は有料化の具体的な金額にも寄りますが、一定の金額を支払わせることでかえって、

悪い人

金を払ったんだから良いだろ!

と、居直って救急車を雑に扱う人は一定数出てくる気がします。

基本とは異なるパターン2

基本とは異なるパターン2は、「被害者と加害者がいる場合」です

例えば「車の追突事故」のような責任割合10:0の事故の場合も、救急車を呼んだ側がお金を請求されるのでしょうか?

被害者側からすると、

被害者

怪我をしたのは加害者のせいなのに、なぜ私が救急車のお金を払うのか…

加害者に請求してほしい…

と考えると思います。

まぁここら辺は、法律の作り方の問題なので、そこまで大きな影響はないかもしれませんが。

基本とは異なるパターン3

基本とは異なるパターン3は、「タクシーを呼ぶ人が、本人ではなく、第三者だった場合」です。

例えば、あなたが道を歩いていたとき、血を流して倒れている人がいたらどうしますか?

おそらくその場で救急車と警察に連絡すると思います。

一方で、救急車が有料化された場合、救急車の出動時にお金を払うのは、第三者のあなたではなく血を流している負傷者です。
気軽に救急車に連絡はできなくなるのではないでしょうか?

そういった場合、逡巡があるせいで、助けられた命が助からない可能性があります。

また、おそらく救急車を呼んだ第三者は、一定の手続を求められるのではないでしょうか?

落し物を拾って交番に届けた際も、調書を取られることになりますが、それと似たような手続が救急車を呼んだ際に発生しそうです。
請求金額を誰が支払うべきか揉めた際は、救急車を呼んだ第三者に定期的に、当時の状況の確認の連絡が来る可能性もあるでしょう。

ここら辺の諸手続の負担は、法律の作り方でなんとかできる世界ではない印象です。

であれば、なおさら第三者が救急車を呼ぶことをためらいそうです。

まとめると

これまでの検討をまとめると、以下のようになります。

結局、「有料化すべきではない。有料化するのであれば、もっと工夫が必要だ」というのが私の意見になりそうです。

こうなると、面接官のディスカッションで、

面接官

では、どういった工夫が必要と考えますか?

と聞かれるのは目に見えているので、時間が余ったらそこを検討すべきかと思います。

検討後の感想

検討後に、

救急車の有料化の議論ってどうなってるのかな〜

とネットで調べたところ、

ある人

搬送先の病院で、「この人は軽症であり、救急車利用は妥当でなかった」という判断が出たら、有料にする!

という案もあるようです。

でも正直、個人的にはこの案も結構難しい気がします。
あまり機能しない気がいます。

「妥当な人だけが救急車を利用する」という制度にすると、一般人が、

一般人

体調悪い…

これは救急車を呼んでも社会に迷惑はかけないだろう(=妥当なはずだ)

と判断しなければいけなくなりますが、そもそもこの判断って一般人に可能なんでしょうか?
そんなことを考えたりネットで調べたりしている間に、症状が悪化するのがオチな気がします。

『人志松本のすべらない話』の中で、

芸人

サウナから出た直後にかき氷を食べたら、頭がキーンとなりすぎて、頭痛がひど過ぎて救急車を呼んだことがある〜

という話が出てましたが、こういったケースは救急車を呼んでいいんでしょうかね?(医者じゃない私には判断がつかない…)

また、お医者さん側も「救急車の利用は妥当でなかった」と判断することは結構難しいんじゃないかなーと思います。

救急車で搬送されてきた患者が、

患者

救急車を呼びたいほど苦しかったんです…

と証言したら、それを受け入れるほかない気がします。

あと、地方だとお医者さんと患者が顔馴染みというケースは結構多いと思います。

その際に、顔馴染みのおじいちゃんとかが救急車を呼んだとして、「救急車の利用は妥当でなかった」と判断を出せるものなんでしょうか?

心情的に難しい気もします。

おわりに

以上です。

いかがでしたでしょうか?

お仕事などの参考になれば幸いです