ケース問題

ケース問題の具体例:あなたが漫画雑誌の編集長ならヒット作品をどう生み出すか?

こんにちは!

今回はケース問題の具体例についてご紹介します。

お題は「あなたが漫画雑誌の編集長ならヒット作品をどう生み出すか?」です。

今回も、制限時間15分で私が考えた回答を文字起こししていきます。

では、早速いきましょう!

イメージを膨らませる

まずは、いつもの通り、「妄想」してイメージを膨らませましょう

今回のお題は「あなたが漫画雑誌の編集長ならヒット作品をどう生み出すか?」ですね。

とりあえず、

ある人

漫画雑誌&その編集者にどんなイメージがあるかな?

と考えると、

  • 週刊少年ジャンプみたいな感じだよなー
  • 漫画家は編集者とファミレスとかで打合せをしながら漫画作ってるみたいね
  • 最近のジャンプの人気作品としては、『鬼滅の刃』とか『呪術廻戦』だろうなぁー。
    あとは100巻に到達したワンピースとか。
  • 他の雑誌だと、マガジンの『東京卍リベンジャーズ』が人気だね。
  • ジャンプはアンケートをとって、10週で打ち切りとかやってるなぁ
  • 漫画家はコミケとかで修行を積んでるのかな?

などでしょうか。

イメージを膨らませるのはこれくらいにして、具体的な検討に入っていきましょう。

問題を切り分ける

今回のお題は、「あなたが漫画雑誌の編集長ならヒット作品をどう生み出すか?」ですね。

「次のヒット作品は何か」ではなく、「ヒット作品をどう生み出すか」ですので、具体的なアイデアではなく、ヒットを生み出し続ける仕組を考えることになります。

そして、今回のお題は、

  • 有望なベンチャー企業をたくさん生み出すには
  • 世界的な科学者をたくさん生み出すには

みたいな感じで色々派生系がありますが、この手の問題は、究極的には、

ある人

数打ちゃ当たる!

という世界になっていき、「数打ちゃ当たる」をいかに効率的に行うかがポイントになっていく印象です。

それを踏まえた上で、どこら辺に注力すべきかを決めるために、問題を分解していきましょう。

ヒット作品を生み出し続けるために「最終的に実現しなければいけない状態」としては、

  1. 漫画家に憧れる者が国内に多数存在しており、
  2. たくさんの有望な漫画家が本誌にエントリーし、
  3. 本誌において健全な競争が行われ、
  4. (競争に敗れた)漫画家にしっかりとした出口がある

という感じでしょう。

特に重要なのは、「本誌において健全な競争が行われる」でしょう。

「漫画家に憧れる者が国内に多数存在している」については、日本は漫画大国で、漫画家に憧れる者がすでにかなりいます。
コミケのような場所もあるので、ここはそれほど問題ではないと思います。

また、「たくさんの有望な漫画家が本誌にエントリーする」については、漫画家を志望する若者が毎年たくさんいるので、あまり気にしなくてもいい気がします。
コミケに出展している人をスカウトするといったことも日常的に行われているでしょうし、ここはあまり改善余地が少なく感じます。

さらに、「(競争に敗れた)漫画家にしっかりとした出口がある」については、

ある人

漫画家として大成しなかったから、普通の企業に入ろうと思ったけど、中々受からない…

という人は一定数いると思うので、不十分な可能性はあります。

しかし、それでも漫画家を志望する若者が毎年たくさんいるので、あまり気にしなくてもいい気がします。
今は副業的に漫画を描いて、Twitterとかに上げている人もいますしね

もし漫画家を志望する若者が激減してきたら、ここを見直すべきな気がしますが、今のところはここの改善は後回しでいいかと思います。

このため、以降は、

ある人

本誌において、より健全な競争が行われるためには、何をしたらいいだろう?

という観点から検討をしていきます。

課題&打ち手を考える

それでは、

ある人

本誌において、より健全な競争が行われるためには、何をしたらいいだろう?

という観点から検討していくにあたり、さらに細分化して課題を探していきましょう。

なお、「健全な競争」を考える上で、アナロジーを使うといいと思います。

ある人

健全な競争と聞いて、何が思い浮かぶかなぁ?

と考えると、

  • オリンピック
  • ベンチャー企業の創出政策

などが思いつきました。

なので、ここら辺をイメージしながら、「健全な競争」に必要な要件を洗い出していきましょう。

では、それぞれ要件を挙げて課題と打ち手を考えていきます。

ケース問題の打ち手の考え方については、以前記事を書きましたので、ご参考にしていただければ幸いです。

【初心者向け】ケース問題での打ち手の考え方・出し方 こんにちは! これまで何個かケース問題の具体例の記事を出してきましたが、今回はケース問題での打ち手の考え方をご紹介します。 ...

要件1:競技が特性ごとにしっかり分離されていること

まず、健全な競争に必要な要件として、「競技が特性ごとにしっかり分離されていること」が挙げられると思います。

オリンピックは、泳ぎの速さを競う場合であっても、

  • 自由形
  • バタフライ
  • 平泳ぎ
  • 背泳ぎ

など、細かく分離されています。

これは、泳法によって、求められる能力が異なってくるからでしょう。

翻って、漫画雑誌の状況をみてみましょう。

『週刊少年ジャンプ』のような少年漫画雑誌は、読者アンケートがかなり重視されています。
ではアンケートを書いている人は少年なのかというと、そうとは限らないです。
女の子かもしれませんし、中年のおっさんかもしれません。

一方で、

  • 少年が面白いと思う漫画
  • 女の子が面白いと思う漫画
  • 中年のおっさんが面白いと思う漫画

は、共通部分もありつつも、それぞれ微妙に異なっているのではないでしょうか。

そう考えると、現状の漫画雑誌は、「競技が特性ごとに分離されていない」ということになり、

中年のおっさんから、

おっさん

なんだこのつまらん漫画は!

アンケートで文句を書いてやる!

と不評だった漫画が、少年から見ると、

少年

面白かったのに打ち切りになっちゃった…

とすごい評価の高い漫画だった、ということが発生してしまっているのではないでしょうか。

なので、ユーザー軸に沿って漫画雑誌の括りを見直した方がいいかもしれません

要件2:然るべきプレイヤーが参加している

健全な競争のためには、「然るべきプレイヤーが参加していること」が要件だと思います。

では、

ある人

「然るべきプレイヤー」とはなんぞや?

という話になりますが、

  • オリンピックの場合は、各地域の予選で勝ち上がった選手が、国の支援を受けながら参加する
  • ベンチャー企業の創出政策では、意欲のある若者が、国の支援を受けながら、ベンチャー企業を創出していく

と考えると、「競争する意思があり、高い能力があり、能力を発揮する環境がある」というのが、然るべきプレイヤーの要件ではないでしょうか。

ここをそれぞれ見ていきましょう。

競争する意思がある

まず、「競争する意思がある」ですが、これは当たり前のようで結構重要な要件になると思います。

市場競争でも、「カルテル」といった

企業

競争しない方がラクだし、皆でそうしよう

という手法があり、それを禁止する独占禁止法などが制定されているくらいです。

また、市場競争では、企業間で思う存分競争をしてもらうため、失敗した時のためにセーフティネットを設定しています。

自己破産といった制度を設けることで、

起業家

失敗しても最悪、破産すればいいから、思い切って起業してみよう!

と安心して競争に参加することができます。

漫画雑誌の場合は、

  • 競争の意欲を出すために、「お金の取り分」や「著作権の取り扱い(作者の合意がなければアニメ化などをできないとする等)」をしっかり設定する
  • 失敗をおそれないために、「最初の2年は何があろうと面倒を見る」という制度を作り、腰を据えて取り組んでもらう

といった感じになると思います。

高い能力がある

次に「高い能力がある」です。

はじめから高い能力を持った漫画家をリクルートすることはもちろん重要ですが、それはコミケの発達などによりある程度対応ができていると思います。

むしろ改善余地がある可能性があるのは、「能力を伸ばしていく」という観点ではないでしょうか。

能力を伸ばす際は、

  • 知識を通じて能力を伸ばす
  • 経験を通して能力を伸ばす

という2つの観点がありますが、「経験を通して能力を伸ばす」の方が改善余地があると思います

「知識を通じて能力を伸ばす」については、漫画家ごとに担当編集が付いていますので、「優良事例の横展開」みたいなナレッジ共有はできていると思います。

一方で、「経験を通して能力を伸ばす」については、漫画雑誌自体に掲載上限数があり、しかも10週で打ち切られたりしてしまいますので、「経験を通して能力を伸ばす」という機会が不足しているのではないでしょうか。

なので、「経験を通して能力を伸ばす」という機会を増やす打ち手を考えましょう

Jリーグのように、1部と2部を分けるというのはあると思います。
つまり、「オンラインの発表場」などの”ファーム”を漫画会社で用意し、新人漫画家はまずそこで経験を積み、芽が出てきたら本誌に掲載していく、という形にしてはいかがでしょうか?

”ファーム”では、能力を伸ばすことを主眼において、「毎週掲載じゃなくてもいい」といったルールを設けてもいいでしょう。

実際問題として、新人漫画家であればアシスタントを確保する余裕もないでしょうし、本人が有名漫画家のアシスタントをやっている可能性もあるので、毎週掲載は難しい時が多いと思います。

また、この”ファーム”により、新人編集者も育てることができるので、漫画雑誌の体制も強化されると思います。

さらに、「求める能力に到達しない者には引導を渡す」という制度も(残酷ですが)現実問題として必要でしょう。

若いうちは人生のやり直しは効きますが、惰性で長期間続けて芽が出なかったら取り返しがつかないことになりかねません。

なので、惰性で続けないように、司法試験の”三審制度”のように、「3回までは漫画が打ち切られても面倒見るが、それでダメなら諦める」といった引導を渡す仕組みを作るのはありかもしれないです。

能力を発揮する環境がある

健全な競争のための3つ目の要件は「能力を発揮する環境がある」です。

漫画家が高い能力を持ち、競争する意思が強かったとしても、能力を発揮する環境がなければヒット作は生まれません。

どんなに優秀なプログラマーを集めても、低スペックのPCしか渡さなければ、システム開発に大きな工数がかかってしまいます。

漫画家にとって必要な環境とは、

  • 漫画を描くツールがある
  • 仕事環境を整える資金がある
  • アシスタントなどの人材が揃っている

といったものが主なものだと思います。

なので、漫画会社が有望な新人に奨学金などを提供するいった打ち手が考えられるかもしれません。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

お仕事の参考になれば幸いです!