こんにちは!
今回は「業務改善の基本」をご紹介します。
分量が多くなってしまったので、前半・後半に分けております。今回は前半です。
マニュアルや引継書を作る機会は公務員も民間も多いと思うので、参考にしていただければと思います。
では、早速行きましょう!
業務改善とは
業務改善の定義は難しいのですが、実際に行う作業ベースでいうと、
業務改善 = 可視化 + 改善
となります。
つまり、
- 業務を可視化し、
- 可視化を踏まえて改善を検討する
という一連の流れが、業務改善の基本になります。
マニュアル・引継書づくりは、「可視化」の一部と考えてもらえば大丈夫です。
業務改善の手法を覚えるメリット
ここでまず、業務改善の手法を覚えるメリットをご紹介します。
メリットとしては、
- 仕事が楽になる
- 転職で役に立つ
の大きく2つだと思います。
メリット1:仕事が楽になる
業務改善をすることで、組織全体の仕事のやり方が効率化されるので、仕事は楽になります。
また、組織全体に限らず、自分の仕事という領域で考えても効果的です。
まだ自分が仕事に習熟できていないなら、”本日の自分のタイムスケジュール”みたいな感じで自分の仕事のやり方を「可視化」し、先輩とかに
どこを直した方がいいか、アドバイスください!
と聞くことができます(先輩側としても指摘しやすくなります)。
加えて、自分が後輩の面倒を見る立場なら、一度仕事を「可視化」していれば、それを元に後輩に仕事をしてもらうことができるので、付きっ切りになる必要がなく、仕事が効率的になります。
自分の仕事を楽にするという意味でも、ぜひ業務改善の技術を習得することをオススメします。
メリット2:転職で役に立つ
次のメリットは、「転職で役に立つ」です。
以前、「【悩む人向け】公務員の転職ってどう考え、どう準備すればいいの?」という記事の中で、
転職のアピールポイントを作りたければ、まずはマニュアル・引継書を作ろう!
とご紹介しています。
これは、転職の面接で、
こういう作業をやっていました!
というのと、
作業自体を設計していました!
というのでは、後者の方がよりウケるからです。
実際、作業をするよりも、作業を設計することの方が難易度が高いので、しっかり評価してくれます。
今の仕事を楽にしてくれるだけでなく、転職時にも役に立つのであれば、業務改善について学びたい気持ちが湧いてきませんか?
業務改善のやり方
ではここからは、業務改善のやり方をご紹介していきます。
「業務改善とは?」でご紹介したとおり、
業務改善 = 可視化 + 改善
なので、「可視化」と「それを踏まえた改善検討」に分けて説明します。
今回の記事では、前半の「可視化」についてご紹介します!
では行きましょう!
業務の「可視化」
業務の「可視化」をする際は、どこまで細かく具体的に可視化するかによって、作る資料が変わってきます。
今回は、典型的な「可視化」の手法として、
- 一番具体的な可視化:マニュアル・引継書
- 一番抽象的な可視化:プロセス図
- 中間的な可視化:ワークフロー図
の3点をご紹介します。
では、それぞれ行きましょう!
一番具体的な可視化:マニュアル・引継書
業務の「可視化」というと難しく感じますが、その究極的な姿は皆馴染みがあると思います。
つまり、究極的な業務の「可視化」は、
- 料理のレシピ本
- ゲームソフトや家電の説明書
といったものですので、イメージは湧きやすいと思います。
マニュアル・引継書を作って業務を可視化するときも、基本的に「レシピ本」などをイメージしながら作っていけばいいです。
マニュアル・引継書には、フォーマットみたいなものは特段ありませんが、いくつかの構成要素がそれぞれの業務の説明ページに組み込まれている必要がありますので、ここだけ気をつけましょう。
構成要素としては、最低限、
- 業務の目的:
レシピ本でいうと「美味しいサツマイモご飯を作って食べる」。
ビジネスだと、何かを判断することかもしれませんし、何かを周知することかもしれません。 - 業務開始のトリガー:
レシピ本でいうと「お腹が空いたとき」。
ビジネスだと、「お客様が購入したとき」かもしれませんし、「多部署から依頼があったとき」かもしれませんし、「月末の締め日になったとき」かもしれません。 - 業務をするために必要なインプット:
レシピ本でいうと「材料:サツマイモ1本など」。
ビジネスでいうと、「お客様からのヒアリング内容」かもしれませんし、「先月の調達費のデータ」かもしれません。 - 業務の結果生まれるアウトプット:
レシピ本でいうと、「サツマイモご飯」。
ビジネスでいうと、「注文書の帳票」かもしれませんし、「調達費の推移を示すグラフ」かもしれません。
が必要になります。
一番抽象的な可視化:プロセス図
業務の「可視化」をするときは、いきなりマニュアル・引継書のような超細かい資料を作るのではなく、ざっくりとした粒度感の可視化から始めましょう。
ざっくりとした粒度感の可視化で十分、というケースは結構多いです。
例えば、料理レシピをプロセス図で可視化すると、以下のようになります。
中間的な可視化:ワークフロー図
プロセス図からちょっと細かくするなら、ワークフロー図を作成します。
ワークフロー図は、登場人物ごとにタスクを整理し、それぞれのタスクの関連性を可視化した図です。
業務の可視化の代表的なツールですね。
ワークフロー図と一概にいっても、
- 具体的な行動レベルまで整理し、条件分岐まで可視化した「細かめ」
- 具体的行動を括って多少抽象的になった「大きめ」
など、その粒度感はバラバラです。
ワークフロー図の中で、
- 業務の目的
- 業務開始のトリガー
- 業務をするために必要なインプット
- 業務の結果生まれるアウトプット
といった要素を整理することができます。
このため、長大なマニュアルや引継書を作成する際は、まずはワークフロー図を作り、その後に文章化することが多いです。
なお、ワークフロー図を作成するときは、いきなり図を描き始めず、まずはタスクリストを整理するのが一般的です。
つまり、
- タスクリストで、具体的な行動を洗い出し、
- それらの行動を概念で括っていき、
- タスクを登場人物ごとにワークフロー図に配置していく
という流れで作成していくことになります。
まずはタスクリストでしっかり整理した上で、ワークフローの図を描き始めた方が、結果的に作業時間を効率化できます。
可視化の注意点
業務の「可視化」に当たり、細かいながらも注意しておくべき点が何個かあるので、ご紹介します。
では、いきましょう!
細かければ細かいほど良い、というわけではない
「可視化」の粒度が細かいと改善部分を探しやすいですが、粒度が荒い方が業務の全体像は見えやすくなります。
どこまで細かくやるべきかは、目的によって変わります。
ただ、実務上は、
荒いものと細かいものの両方作ろう!
というパターンが多く、「マニュアルの中に、プロセス図のページも組み込む」といったことが多用されています。
全パターンの網羅はマストではない
業務には、「一般的な処理」のほかに、「例外処理」というものが必ずあります。
そして、「例外処理」は、
- 申請者が、未成年者の時はXXX、当自治体以外に居住している人の時はXXX
- 認定者が、誤って法令違反をした場合は改善命令だが、故意であることが明らかな時はXXX
といった感じで、細いパターンが非常にたくさん存在することが一般的です。
ここで、業務を「可視化」する際に、全パターンを網羅すべきかどうかは、その「可視化」の目的に照らして決めることが重要です。
システム開発をする前の「要件定義」の際は、基本的に、全てのパターンを網羅して業務を可視化する必要があります。
一方で、業務の効率化を考える上で、
どの業務を深掘って改善策を考えた方がいいだろう?
という目星をつける段階であれば、まずは各業務の「一般的なパターン」を可視化し、どこら辺に改善余地があるかを一度検討してみても良いと思います。
原案を作ってからインタビューをする
ワークフロー図などを作る際は、実務担当者にインタビューなどをして情報をもらいながら、タスクリストを作成したり図示化したりします。
その際は、いきなり、
あなたの仕事はどういうプロセスになっていますか!?
教えてください!
と徒手空拳でインタビューせず、必ず、
我々の仮説でタスクリスト/ワークフロー図を作ってみたんですけど、実務と照らすとどこが異なりますか?
と原案を示しながらインタビューするようにしましょう。
なぜなら、業務プロセスを洗い出す時は、粒度を揃えるのが結構難しいからです。
インタビューをして、
- ある実務担当者は、具体的な行動レベルで条件分岐まで含めてプロセスを教えてくれたのに、
- ほかの実務担当者は、もっと概念的なレベルで業務プロセスを教えてくれる
ということは往々にして起こります。
前述した通り、どこまで細かく業務を可視化するかは、目的に照らしてはじめて決まります。
そして、その目的を知っているのは、インタビューを受ける側ではなく、インタビューをする側です。
インタビューをする側が、まずは責任を持って、
- どこまで粒度を細かくするか
- どこまでパターンを網羅的に拾うか
を検討し、原案を作った上で、実務担当者に確認してもらった方が、効率が良くなります。
オススメの書籍
今回の記事に関連したオススメの書籍は以下の通りです。
『はじめよう!プロセス設計』
『業務改革の教科書』
『最強の業務改革』
『最強のコスト削減』
『コストマネジメント思考法』
おわりに
いかがでしたでしょうか?
お仕事の参考になれば幸いです!
後半の記事はこちらからどうぞ。