グループディスカッション

グループディスカッションのテーマ例:二大政党制を日本に根付かせるには?

こんにちは!

今回はグループディスカッションのテーマ例についてご紹介します。

お題は「二大政党制を日本に根付かせるには?」です。

今回も、制限時間15分で私が考えた回答を文字起こししていきます。

グループディスカッションの考え方については以前記事を書いておりますので、ご参考にしていただければ。

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では、早速いきましょう!

はじめに

このお題を扱うに当たって、まず言っておかなければいけないのは、「特定の政党が良い/悪い」ということを論じたい訳ではない、ということです。

「二大政党制を日本に根付かせるには?」というお題なので、自然と、

  • 自民党は野党に比べて、こういうところが優れている
  • 野党は自民党に比べて、こういうところが劣っている

という議論になりますが、別に私は自民党シンパではありませんし、思想はどちらかというとリベラル寄りだと思います。

かといって「アンチ自民党」かというと、そういう訳ではありません

政治周りの話になると、

ある人

お前は敵なのか味方なのか!?

二元論で語る人が多いですが、政治はそんなシンプルな話ではないと思います。

「是々非々」というのが、政治に限らず、全ての物事へのスタンスの基本だと思いますし、私も「是々非々」でありたいと考えています。

今回の記事は、私の政治思想を主張する意図はないということを、あらかじめご理解いただければ幸いです。

イメージを膨らませる

まずは、いつもの通り、「妄想」してイメージを膨らませましょう

今回のお題は「二大政党制を日本に根付かせるには?」ですね。

とりあえず、

ある人

「日本の二大政党制」と聞いて思いつくことはなんだろう?

と考え、どんどん挙げていくと、

  • 日本の二大政党制ということは、「自民党以外も良いじゃん」と思わせる政党が出てくるということだろう
  • 今の日本の野党には、立憲民主党、国民民主党、社民党、共産党、維新の会などがあるなぁ
  • なぜ野党第一党の立憲民主党は支持率が低いんだろう? (※)
  • 菅直人が昔、野党への支持率が上がらないことについて、「一億総白痴」とか言って国民から顰蹙を買ってたなぁ
  • 「日本人は政治に興味がなさすぎる」という意見もよく聞くなぁ
  • 英・米とかは二大政党が中心、
    仏・独は比較的もっと多政党が活躍している、
    中国・ロシア・シンガポールは一党独裁というイメージがあるなぁ

といったことが思いつきました。

※NHKの2021年11月調査を見ると、

  • 岸田政権への支持率が53%
  • 自民党への支持率が39.5%
  • 立憲民主党への支持率が8.2%(野党の最高値)
  • 支持なしが28.6%

となっています。

イメージを膨らませるのはこれくらいにして、具体的な検討に入っていきましょう。

アプローチを考える

では、今回のお題に対するアプローチを考えていきましょう。

ここでは、複数のアプローチを出して、比較して検討することが重要です。

今回のお題は、「二大政党制を日本に根付かせるには?」ですね。

アプローチとしては、

  1. なぜ日本には二大政党制が根付かないのか?
  2. その原因を踏まえると、どのような打ち手が必要か?

というものや、

  1. 二大政党制に移行する上での必要要件は?
  2. その要件に照らすと、日本はどういったところが足りていて、どういったところが不足しているのか?
  3. その不足している部分を埋めるには何をすればいいか?

というものが考えられます。

二つを比較し、

ある人

どちらのアプローチが良いだろう?

と考えると、前者の方がいいと思います

というのも、前者を考えるためには、後者の観点(=要件)も考える必要があり、前者が後者を内包しているからです。

したがって、以降は、

  1. なぜ日本には二大政党制が根付かないのか?
  2. その原因を踏まえると、どのような打ち手が必要か?

というアプローチで検討していきます。

なぜ日本には二大政党制が根付かないのか?

では、検討アプローチに沿って検討を進めていきます。

二大政党制が根付かない原因を探すにあたり、検討プロセスをさらに細分化させ、

  • どこら辺に問題がありそうか?
  • その問題はなぜ発生しているのか?

という順で考えていきたいと思います。

どこら辺に問題がありそうか?

日本には二大政党制が根付かない理由がどこら辺にあるか目算をつけるために、二大政党制に移行するための要件を考えていきましょう

おそらく、二大政党制に移行するためには、

  1. (消極的支持でいいので)政権交代が起きる
  2. 新政権の行う政治が一定の評価を得る
  3. 積極支持が増え、新政権の政党の「選挙勝率」が、自民党に近い水準になる
  4. 上記の「選挙勝率」が何年も維持され、政党支持率も安定する

といったプロセスを踏む必要があると思います。

この中で一番のネックになっているのは、「新政権の行う政治が一定の評価を得る」 だと思います。

「(消極的支持でいいので)政権交代が起きる」は、少ないながらも複数回あったので、そこまで大きなネックではないと思います。

そして、「新政権の行う政治が一定の評価を得る」を実現するためには、当然ですが、政治実務の能力を充実させる必要があります。

なので、以降は「なぜ野党は政治実務の能力が不足しているのか?」について原因を検討していきましょう。

その問題はなぜ発生しているのか?

では、「なぜ野党は政治実務の能力が不足しているのか?」について検討していきましょう。

政治実務の能力の中には、

  • 純粋な政策立案の能力(=考える能力)
  • 調整・交渉の能力(=実行する能力)

の2つの要素があると思うので、それぞれ見ていきましょう。

純粋な政策立案の能力

「純粋な政策立案の能力」ですが、時々、

ある人

野党の政策立案能力が低いのは、やる気が足りないからだ!

みたいな意見を聞きますが、そんな簡単な話ではないと思います。

個人的には、「与党と野党では仕事の性質が違いすぎて、知識格差が構造的に生じてしまうから」というのが理由なのかなぁと思います。

同じ「政治家」といっても、与党と野党の仕事は全く異なります

スタンスの違いでいうと、

  • 野党は、政府の問題点などを指摘する(&対案を出す)のが仕事であり、つまり、野党は「自分の得意分野で戦える」という仕事である一方、
  • 与党は、政府や立法府の全体運営などを仕切るのが仕事であり、つまり、与党は「自分の得意分野だけをやっていれば良いわけではない」という仕事

という差異があります。

例えば、2009年に民主党の政権交代では、「ミスター年金」と呼ばれていた長妻昭議員が厚労大臣に就いたものの、年金以外の厚生労働行政に精通していないため、結構炎上していた印象です。

自民党の議員から、

ある人

年金以外の医療、福祉のことはわからないということであれば、いつでも(厚労大臣を)代わってさしあげますよ

と言われてましたね。

参照:第173回国会の本会議(平成21年10月28日)の西村康稔議員の質疑

実際に行政を動かすためには、幅広い知識が必要なため、構造的に与党の方が知識量が増えていく傾向にあると思います。

さらに言うと、「政治家」と「政府閣僚の政治家」も全然違う仕事だったりします。

日本の内閣の政策立案は、

  1. 各省庁内で原案が作成され、
  2. それが大臣に提案され、
  3. その後、与党内で審査がされ、
  4. 最後に国会に提出され、野党が確認する

というプロセスになっています。

政府内部の検討情報は、当然ながら機密事項です。
なので、政府内部の検討情報を知れる政治家は、各省庁の大臣・副大臣・政務官くらいです。

与党の政治家ですら、あるテーマの政策立案状況について各省庁に問合せても、閣外であれば、

官僚

そのテーマについては、現在、あらゆる選択肢を検討中です

と釣れない回答を受けることになります。

つまり、政策立案プロセスの経験を積めるのは、大臣・副大臣・政務官に抜擢された政治家くらいになります。

政策立案は様々な観点から検討する必要があり、非常に複雑なため、「知識があれば対応できる」といった類のものではなく、経験を積む必要があります。

時々、経済学者の先生方が

経済学者

経済学の理論的には、この政策が正しい!

と主張することを見て、

官僚

経済学的にはそれが正しいのかもしれないけどさ…

でも、それって憲法違反だよね?

と感じることも度々あります。

経済政策を考えるときでも、経済学の観点からだけ検討すれば良いわけでなく、法学などの様々な分野から検討する必要があるのが現実です。

なので、「政策立案の経験」という観点からも、構造的に与党の方がスキルアップする形になっています。

調整・交渉の能力

与党と野党の間で一番力の差があるのは、個人的には、「調整・交渉」の領域だと思います。

こちらも、結局は経験の差が原因だと思います。

衆院議員の丸山穂高が2021年9月7日のTwitterで、

丸山穂高

自民党が総裁選でマジ権力闘争をやってる一方、立憲の方は内閣ゴッコやってる場合かねぇ

と言って炎上してましたが、

  • 政党内の権力闘争という点でも、
  • 対官僚との綱引きという点でも、
  • 業界・地元との調整という点でも、
  • 諸外国との外交という点でも、

上記の点から見ると、野党の議員より、与党の議員の方が経験豊富というのは事実だと思います。

なんで与党がこんなに調整・交渉経験が豊富なのかというと、単純に「政策立案を実行する者」であるからです。

つまりこれも、「野党がやる気がないから」とかそういう簡単な話ではなく、与党と野党の仕事の差異から構造的に発生するものです

例えば、環境省が環境保護の政策を作ったら、基本的には経産省が反発します。

その決着がどうなったとしても、最終的な政策について、環境保護団体と経済団体のどちらかが反発するのは目に見えてます。

そして大抵は両方から反発を食らうことになります。

調整した結果、政策が玉虫色になり、経済団体からは

経済団体

ビジネスへの締め付けはやめろ!

倒産してしまう!

と言われ、環境保護団体からは、

環境保護団体

環境保護の政策として弱腰すぎる!

もっと踏み込め!

と言われることになります。

役所側も業界調整をしますが、業界側は、

業界団体

官僚を黙らせるには、政治家だ!

と政治家を巻き込んで圧力をかけてきます。

結局、与党側の政治家も調整・交渉に参加することになります。
こんな感じで、与党は調整・交渉の場が回ってくることになります。

その原因を踏まえると、どのような打ち手が必要か?

政策立案も、調整・交渉も、構造的に与党の方がスキルアップの機会が多い点は前述しました。

それを踏まえると、野党はどうやって政治実務の能力を拡充し、「新政権の行う政治が一定の評価を得る」という状況をどう実現すればいいでしょうか?

民間企業では、自社では育てられないケイパビリティを獲得したいときは、M&Aで会社ごと買ってきます。

政治の世界でも、この考え方を導入すればいいのではないでしょうか。

つまり、「与党の一定数の政治家を引き抜いて、政権交代時に重要閣僚などに配置する」という方針を取るということです。

これをやると、野党一筋の政治家から反発は出るでしょうが、そこで

野党幹部

そちらの方が二大政党制に近づく!

と”調整”できなければ、二大政党制の実現はまだまだ難しいと思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

お仕事の参考になれば幸いです!

以前に政治技術の記事を書きましたので、そちらもご参考にしていただければ。

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