こんにちは!
先日、カフェ市場のフェルミ推定の記事を公開しました。
コンサルファームの面接は、「フェルミ推定を出題して、それをもとにケース問題を出題する」というのが一つの様式美になっているので、カフェのケース問題についても書いてみようと思います。
具体的なシチュエーション設定としては、「カフェの市場規模は2.1兆円です」と回答し、フェルミ推定についていくらかの議論を行った後、
では、その市場規模を前提としましょう。
シェア10%の企業から『売上を1.5倍にしたい』と言われた場合、どういう提案をしますか?
10分で考えてください。
と言われた場面を想定しましょう。
では考えてみましょう!
まずは前回の記事のおさらい
前回のフェルミ推定の式は以下のとおりです。
- カフェの市場規模 = カフェの店数(5万軒) × 一店あたりの年間売上高(4300万円) ≒ 2.1兆円
- 一店あたりの年間売上高 = カフェ一店あたりの1日売上(12万円) × 30日 × 12ヶ月
- カフェ一店あたりの1日売上 = 店内の飲食売上(11.3万円) + テイクアウト売上(0.6万円)
- 店内の飲食売上 = 席数(30席) × 稼働率(45%) × 1時間あたり回転率(1回転) × 営業時間(14時間) × 一人あたりの平均購入額(600円)
- テイクアウト売上 = 店内の飲食売上 × テイクアウト比率(5%)
詳細については以下の記事をご覧いただければと思います!
具体的なイメージを膨らませよう
次に具体的なイメージを膨らませましょう!
つまり、いつもの「妄想」タイムです!(このステップは必ず入れましょう)
シェアが10%ということは、クライアントの年間売上は2100億円になりますね。
ここまでの売上になると、結構な数の店舗を持っていそうです。
これだけの規模なら、スケールメリットを活かして良いコーヒー豆を調達してそうだし、メニューも豊富そうだなぁ。
店舗数でいうと5千店くらいか。都市部にたくさん出店していると考えるのが自然だろう。
フリーWi-Fiの提供などサービス面も充実しているだろう。
業務もマニュアル化されてて大学生アルバイトとかも多いだろう。
マニュアル化されててアルバイトを採用できるなら、営業時間は朝早くから夜遅くまでギリギリまで長く確保しているだろうな。
ここで具体的に「妄想」しておくことはかなり重要です!
このワンステップを入れるかどうかが検討の質に大きな影響を与えます。
そしていよいよケース問題に取り組んでいきます。
まずは改善余地のある部分を探そう
いきなり全体を扱わず、色々と切り分けて、改善余地のある部分を探しましょう。
フェルミ推定からケース問題に移行した場合、当然フェルミ推定の式は手元にあるので、この式をもとに考えることになります。
どの変数なら改善余地はありそうですか?
パッと見だと、
- 稼働率(特に「平日×食事時以外」の稼働率)
- 一人あたりの平均購入額
- 店舗数
- (テイクアウト比率)
とかが候補になるかなぁと思います。
どこが特に効果がありそうでしょうか?
現実的に考えると、カフェという業態上、1店舗が稼げる売上には限界があります。
席数を倍にしたり、一人の購入額が倍になったりすることはないからです。
特に席数については、数を増やすことで隣の人との間隔が狭くなり、窮屈な雰囲気になって客足が遠のく可能性まであります。
なので、売上を2倍にするには、店舗数を増やすことが正攻法だと思います。
ただ、「店舗数を増やす」は鉄板だと認識しつつ、それだけだと誰でも回答できるので、それ以外の
- 稼働率(特に「平日×食事時以外」の稼働率)
- 一人あたりの平均購入額
について詳細に検討し、1店舗当たりの売上高を上げられないか考えてみましょう。
稼働率の課題
フェルミ推定では、「平日×食事時以外」の稼働率を20%と設定しました。
ここが一番改善余地があるので、ここにフォーカスを当てたいと思います。
稼働率を上げる打ち手を考えるに当たって、まずは、
なぜこんな低い稼働率になってるんだろう?
と課題を考えましょう。
ここでも、まずは切り分けが重要です。
自社のカフェに通う人の数 = A.(自社・他社関わらず)カフェに通う習慣のある人の数 × B.そのうち自社のカフェを選ぶ率
ですので、AとBどちらにフォーカスを当てるべきでしょうか?
Bの改善の方が簡単でしょうから、Bにフォーカスしましょう。
そして更に切り分けます。
「平日×食事時以外」の来店客はどういった人がいて、誰をターゲットにすべきでしょうか?
「平日×食事時以外」の来店客をイメージすると、
- 友人と会話してる人たち
- 休憩中の営業マン
- シニア
- 専業主婦
- 大学生
- リモートワーク・フリーランスの社会人
とかでしょうか。
このうちどこをターゲットにすべきでしょうか?
個人的には、特に「専業主婦」と「リモートワーク・フリーランスの社会人」がいいのではないかと思います。
時間があれば両方を深掘ればいいですが、時間も限られてますし、どちらかに絞りましょう。
ということで、リモートワーク・フリーランスの社会人をターゲットとします。
リモートワークは最近のトレンドですし、クライアントが出店している都市部には一定数いると思いますし。
ここまで切り分けてから、
リモートワーク・フリーランスの社会人は、なぜうちのカフェに殺到しないのだろう?(=なぜ今の水準の稼働率なのだろう?)
とwhyで深掘っていきます。
カフェで仕事している社会人がどうやってカフェを選んでいるか考えると、ぶっちゃっけ、「あまりしっかり選んでない」のが正直なところだと思います。
つまり、「あまり値段が高くないカフェに、日々変えながら通ってる」という感じじゃないでしょうか。
この手の「他に比べて、明確な不満はないけど、明確な長所もない」という状況は割とたくさん出てきます。
結局そういう場合は、「他に比べて明確に長所がある」という形を目指すことが最優先になります。
なので、カフェで仕事している社会人が来たくなる打ち手を考えたいと思います。
例えば、フリーWi-Fiを平日は止めて(もしくは有料にして)、それを原資に「前日のレシートを持ってきたら50円引き」のような制度を導入するのはどうでしょうか。
カフェで仕事をしている人は、自前の機器でオンラインに接続している人が多いと思います(ポケットWi-Fiとか、会社から支給されたスマホのテザリングとか)。
カフェのフリーWiFiを使って仕事してたら、セキュリティ的にも問題ですしね。
なので、必要性の低いフリーWi-Fiを止めて、それを原資にキャンペーンをやるのはありじゃないでしょうか。
ほかにも、平日はカフェのレイアウトを変えて、仕事をしやすくする、という手もあるかもしれません。
カフェは基本的に隣の人と間隔が狭いですし、「平日はどうせ席が余るなら、席をもっとゆったり使う」という考えです。
仕事中に隣の人の会話とかが聞こえてきたら気が散りますし、仕事の電話など声を出したい時にも好都合です。
稼働率の検討についてはこれくらいにして、次は「一人当たりの平均購入額」に移りましょう。
一人当たりの平均購入額
次に「一人あたりの平均購入額」を上げる打ち手を考えましょう。
ここでも、まずは切り分けが大事です。
一人あたりの平均購入額 = 平均で購入する品数 × 各品の値段
なので、「一人で買う品数」を上げられないか考えましょう。
値段を上げるのはなかなか難しいです。
値段を上げたら、その分、客足が遠のく可能性がありますしね。
また、稼働率の方と整合性をとり、「想定するターゲット = リモートワーク・フリーランスの社会人」としましょう。
ここで、
リモートワーク・フリーランスの社会人は、どういったものを求めているか?
と考えましょう。
カフェに仕事に来ている社会人は、少しでも費用を抑えたいと考えている一方、眠気防止や頭の栄養補給は求めていると思います。
なので、眠気防止のためのガムや、糖分補給として小さいチョコみたいのを販売するのはどうでしょうか。
カフェで売ってるお菓子は、ケーキとか結構でかいものが多くて、毎日は買えないし、買ったらテーブルのスペースを圧迫してしまいますから。
ただ、小さいガムやチョコを買うためだけにレジに並ぶのは抵抗感があると思うので、オフィスグリコのようなお菓子販売ボックスを店内に設置するのがいいかもしれません。
あとがき
いかがでしたでしょうか?
制限時間10分とかなら、とりあえず上記のようなことをパパッと考えて、面接官とのディスカッションで更に考えを深めていけばいいと思います。
ケース問題の打ち手については別途記事を書いていますので、ご参考にしていただければ。