思考

【初心者向け】ケース問題での打ち手の考え方・出し方

こんにちは!

これまで何個かケース問題の具体例の記事を出してきましたが、今回はケース問題での打ち手の考え方をご紹介します。

正直、ケース問題においてどのように考えていくかは正解がない世界ですし、そもそも私自身が常に今回の記事で書いた通りに考えているかというとそんなことはありません

ただ、ケース問題初心者や、

ある人

ケース問題は興味ないけど、実務で打ち手を考える際に参考にしたいなぁ

という人にとってはイメージが湧きやすくなると思いますので、ぜひ参考にしてみてください!

よくある間違い

打ち手の検討でよくある間違いは、「起点を考えていないのに、打ち手を考えてしまう」というパターンです。

例えば、

ある人

カフェの平日の売上をあげたいなー

と考えるときに、「4Pに沿って打ち手をたくさん出してしまう」というパターンです。

これは、お医者さんでいうと、

ヤブ医者

体調不調の原因はよく分かんねーけど、とりあえず処方箋を色々考えてみっか

という状況と同じです。

たくさん打ち手のアイデアが出てきても、予算制約もあるでしょうし、全てを実行することはできません。
打ち手を実行しても効果が限定的になりますし、副作用が出る可能性もあります。

そうではなく、打ち手を考える前に、課題や典型的勝ちパターンなどの「打ち手を考える上での起点をまずは考えましょう。
「起点」が決まれば、打ち手の方向性は自動的に決まっていきます。

考え方の基本中の基本

では、打ち手をどのように考えていくべきかについて具体的に紹介していきます。

ケース問題には様々ありますが、

ある人

このビジネスの売上を2倍にするには?

などの「売上を上げる系」が一番の基本になると思いますので、こちらの打ち手の考え方を取り上げます。

そもそもの前提として、「売上を上げる系」は、マーケティングの観点、つまり、ユーザーの心理を考えることが基本となります。

このため、

ある人

ユーザーの気持ちを推し量って、それを踏まえて企業側が動き方を変え、ユーザーを捕まえていく!

というのが原則になります。

そして、ユーザーは2種類いることに注意です。

  • (自社・競合他社問わず)普段からその商材を使っているユーザー
  • そもそも、その商材を普段は使っていないユーザーです。

なので、この2タイプに分けて具体的に説明していきます。

(自社・競合他社問わず)普段からその商材を使っているユーザー

「普段からその商材に触れているユーザー」の捕まえ方ですが、いくつかあります。

それぞれ見ていきましょう!

そのユーザーにとって不満なところを取り除く

一つ目は、「そのユーザーにとって不満なところを取り除く」です。
これはマーケティングの基本ですね。

例えば、

スーパーの店員

ペットボトルのジュースを特価で出しているのに、全然売れない…。
ジュースは家で飲まなくなってるのかな?

お客さんに聞いてみよう。

お客さん

ジュース?お家でよく飲むわよ。

家にはペットボトルのジュースを常備してるわ。

スーパーの店員

ペットボトルのジュースは日頃飲まれてるんですね!

うちのスーパーだと結構安いと思うんですが、なぜうちで購入しないんですか?

お客さん

だってペットボトルのジュースを何本も買ってスーパーから家まで持ち帰るのは、重くてしんどいし…

ペットボトルのジュースだけは、多少割高だけど、家の近くのコンビニで買ってるのよ。

といった感じで、「ユーザーの不満」がわかったら、それを取り除くことで売上が上がります。
今回の場合は、「スーパーから自宅にお届けする」といったことが打ち手候補になるでしょう。

「マーケティング = 広告を打つこと(認知を上げること)」と理解している人も多いです。

しかし、マーケティングの基本は、「顧客を理解して、それを踏まえて行動すること」と考えた方が実務的に混乱がないと思います。

広告を打つことはマーケティングの一部でしかありません。

その商材・サービスの「弱みが減り、強みが活きる」を探す

2つ目は、「その商材・サービスの”弱みが減り、強みが活きる”シーン・方法を探す」です。

ターゲットユーザーを設定して、そのターゲットの不満を取り除いて売上を上げていくのが一番正統派ではあります。
ただし、それが難しそうであれば、現在の商材・サービスの「弱みが減り、強みが活きる」シーン・方法を模索していきます。

「ターゲットユーザーを設定して、そのターゲットの不満を取り除く」は、”ユーザーに合うように商材を変える”イメージです。

一方、「現在の商材・サービスの”弱みが減り、強みが活きる”シーン・方法を探す」は、”商材に合うユーザーを探す”というイメージです。

例えば、鉛筆の売上を上げるために、「高機能化」のような差別化要素を探しても意味はありません
シャーペンやボールペンの機能には敵わないからです。

そうではなく、鉛筆の「安い」という強み活かしましょう
具体的には、街頭アンケートなどの「筆記用具が大量に必要になる」といったシーンを探し、それを実施している企業に集中して鉛筆の営業をかけまくるという手が考えられます。

他の例としては、牛乳配達の利益を上げるために、「新聞会社と提携して配達密度を上げる」というものがあります。
これにより、コストを下げながら、美味しい新鮮な牛乳を提供することが可能となります。

ここら辺の話は、『なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?』で記載されてますね。

なお、「一時的に魅力が上がる」というタイミングがあることも、考慮に入れるといいと思います。

例えば、北海道旅行が大好きな人も、常に旅行先に北海道を選んでいるわけではなく、

北海道好き

最近連続で北海道に行ったから、次の旅行先は他の場所にしようかな

と思うものです。

このように「飽き」などを見計らって、自分たちの商材・サービスを使ってもらう機会を獲得するというのも一つの作戦です。

重要でないところを削って、重要なところに注力する

3つ目は、「ユーザーの意思決定にあまり影響を与えない部分を探し、その部分を削って捻出したリソース等を重要なところに再配分する」です。

例えば、「カフェの売上を1.5倍にするには?」で紹介した

ある人

フリーWi-Fiを平日は止めて(もしくは有料にして)、それを原資に「前日のレシートを持ってきたら50円引き」のような制度を導入する!

などが該当します。

ケース問題の具体例:カフェ・喫茶店企業の売上を1.5倍にするには? こんにちは! 先日、カフェ市場のフェルミ推定の記事を公開しました。 https://nokominzoku.com/fer...

「削る」も立派な打ち手です!

ユーザーの気持ちを想像した時に、

ユーザー

別にこのサービスがあってもなくても、この商品を購入するのにな

といったものがあれば、どんどん削りましょう。会社のリソースは有限なので。

そもそもその商材を普段は使っていないユーザー

「その商材を普段は使っていないユーザー」の捕まえ方もいくつかあります。

それぞれ見ていきましょう。

その商材の魅力が伝わっていない場合

1つ目は、そもそも「その商材の魅力が伝わっていない」という場合です。

商材に魅力はあるものの、認知度が低い場合は、単純に認知を獲得する必要があります。

広告を打っても良いでしょうし、セミナーを開いても良いでしょうし、口コミを期待して「友人紹介キャンペーン」とかをやっても良いでしょう。
認知されていない商材は、存在しないことと同義です。

一方で、実際に商材に魅力がない場合は、商材を改善する必要があります。
上位互換の商材が市中に出回っているなら、そのままの商品力で戦おうとしても勝負になりません。

ただし、商材に魅力があるかどうかは、状況に応じて異なるので注意です。

例えば、富士山の山小屋のカレーは、高くても売れます。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』という映画で、主人公が様々な人にペンを渡して、

主人公

Sell me this pen!
(=俺にこのペンを売ってみろ!)

と問いかける(営業のテストをする)シーンがあります。

その中で 「ペンが必要な状況に相手を追い込め」という教訓が出てくるんですが、これも一例ですね。

本記事前半で記載した「その商材・サービスの”弱みが減り、強みが活きる”シーン・方法を探す」のパターンを準用できる時もあるので、一度検討してみることをオススメします。

商材の魅力が伝わっているのに利用が進んでいない場合

2つ目は、商材の魅力が伝わっているのに利用が進んでいない」という場合です。
こうなってしまう理由はいくつか考えられます。

まず、利用できる環境にアクセスできない」という場合は、その環境を整備することになります

例えば、「家の近くに取り扱い店舗がない」などの場合が該当しますね。

ある人

利用したくても、できないよ

ってことなので、そのニーズを取り込みたければ、「できるようにしてあげる」以外にありません。

また、「利用する必要性を感じていない」というパターンもあります。
そして、この手のパターンに該当する商材はめちゃめちゃ多いです

例えば、出前をあまり取らない人に「Uber Eatsをなぜ使わないの?」と聞いても、

ある人

え? 別にUber Eatsを使わなくても、今の生活に不便を感じてないし…

だから使ってないだけだよ

と返されるだけです。

こういう場合は、利用のハードルを可能な限り下げて、利用の背中を押す(=体験してもらって価値を感じてもらう)が基本になります。

試供品をあげるとか、初回無料にするとか、様々な打ち手が考えられます。

さらに、「魅力も感じているし、必要性も感じているけど、利用しない」というパターンもあります。

これは、その商材だけを切り取ると魅力も必要性も感じているけど、他のこととの兼ね合いなどを総合的に考えると、心にブレーキが生じていることが原因です。

例えば、育休の取得などは、皆魅力を感じてますし必要性も感じていますが、取得にあたっては心にブレーキがかかります。

それは、

ある人

うちは共働きの家庭だ。

育休を夫婦同時に取ってしまうと、育休明けに更に長期休暇が必要になった場合、どちらかが退職しないと対応できないだろう。

共働きを維持するために育児休暇の「貯金」をしておくことが必要だから、出産直後はまずは妻に育休を取ってもらい、その後に長期休暇が必要になったら、今度は私が育休を取るようにしよう。

と考えているのかもしれませんし、

ある人

この会社がずっと存続するとは限らないし、会社が倒産しても転職できるよう、スキルアップに励まないと。

スキルアップのためには、来月からはじまるプロジェクトは、滅多にない機会だからぜひ経験しておきたい。

育休を取得して、スキルアップの機会が減り、転職できなかったら、結果的に家族により大きな迷惑をかける。

と考えているのかもしれません。

こういう場合は、その心のブレーキを特定して、取り除こうとするのが基本となります。

おわりに

以上です。

いかがでしたでしょうか。

最初に書いた通り、打ち手や課題の洗い出しは正解のない世界であり、何よりここを考えることが「ケース問題の楽しさ」そのものだったりします

そして、ケース問題をやればやるほど上手くなる部分でもあります。

本記事を読んでイメージを持てたら、ぜひ色々なケース問題に取り組み、自分なりの考え方を磨いてみてください!