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【初心者向け】後輩・部下の育成方法(後編)

こんにちは

今回も、前回に引き続き「後輩・部下を育成する方法」についてご紹介します。

今回は「後編」です。
様々な本に記載されている「コツ」に関する部分をご紹介します。

私自身、育成にそこまで長い期間携わってきたわけではありませんし、まだまだ勉強中の身ではありますが、「失敗から学んだこと」などをご紹介できたらと思います。

「前編」はこちらをご覧ください。

【初心者向け】後輩・部下の育成方法(前編) こんにちは 今回は、「後輩・部下を育成する方法」についてご紹介します。 後輩・部下の育成って本当に大変ですよね…。自分が仕...

では、早速いきましょう!

育成に当たっての原則

育成に限った話ではありませんが、どういった原則やメカニズムがあるかを知っておくことは重要です。
その原則を起点に、具体的な行動を検討することができるからです。

今回は「育成の原則」として、様々な書籍に共通で出てくるものや、自分の経験と照らしても納得感のあるものなどを集めました

それぞれ見ていきましょう!

結局、経験した分だけ成長する

RPGの「経験値」と同じで、仕事での成長に一番貢献する変数は、結局、「どれだけ仕事の経験を積んだか」です。

自転車の乗り方を覚えるときのように、仕事をできるようになるには、何度もトライ&エラーを積み重ねる必要があります。

私の先輩から聞いた話ですが、彼が昔所属していた戦略コンサルティングファームでは、自社の採用戦略を考えるに当たり、

コンサルタント

自社内の優秀な社員に共通する要素を分析しよう!

そして、その要素を持っている学生や社会人を採用するようにしよう!

と考え、自社内のコンサルタントのデータをもとに因子分析を行ったそうです。

すると、「優秀さ」に最も貢献する変数は、

  • 社歴の長さ
  • 経験したプロジェクト数の多さ

といった「経験値の量」であることが判明したそうです。

結局、その戦略コンサルティングファームでは、「頭の良さ」よりも「長く勤められそうか」が重要な採用基準になった、とのことでした。

かつて島田紳助が「しゃべくり007」に出演した際に、バラエティのMCについて

島田紳助

経験を積むほど、やっぱり上手くなっていく

という趣旨の発言をしていましたし、どんな仕事も経験量が重要なんだと思います。

なので、後輩・部下の育成に当たっては、「打席に立つ」機会を可能な限り提供することが重要になります。

自信を持てば、自然と仕事に積極的になっていく

ある人

後輩・部下のモチベーション管理が大変…

みたいな話もよく聞きますが、自信を持てば大抵の後輩・部下は自然と仕事に積極的になりますし、自信がないと消極的になります。

そして、当たり前ですが、小さくても成功体験を積めば誰でも自信が付きますし、逆に失敗が続いたり大きな失敗をしたら誰でも自信を失います

なので、後輩・部下の育成のためには、

  • 可能な限り、小さな成功体験を積み上げて自信を蓄積してもらい、
  • トラウマになるような失敗や、連続での失敗を経験して自信を喪失しないように気をつける

というのが重要になります。

人事目標・評価の仕方で成長速度が変わる

人材育成において、目標設定で「目指すべきゴール」を後輩・部下としっかり合意できるかは非常に重要です。
目標設定が成長速度に影響するからです。

また、人事評価でも、公平な評価が行われないと、仕事に対するモチベーションが下がりますし、信頼関係も毀損します。

人事目標・評価はかなり丁寧に行う必要があります。

公務員からコンサルに転職した際に非常に驚いたのは、コンサル業界の「人事目標・評価に対する労力のかけ具合」です。

特に管理職以上の人たちは、部下の人事目標・評価にかなり時間を費やしています。
適宜行われるフィードバック面談まで含めると、総労働時間の10-20%くらいは人事目標・評価に使っているんじゃないでしょうか

実際の目標設定の場でも、

上司

自分のキャリア戦略を描けない人が、クライアントの戦略を描けるわけないだろ

と若手にかなりの完成度の目標設定を求めます。

特に人事目標で重要なのは、精神論に逃げず、「具体的な行動」や「目に見える状態」まで落とし込むことです。

例えば、

ある人

当事者意識を持って積極的に仕事に取り組むようにする!

みたいな書き方ではなく、

ある人

打合せの際は、議論の叩き台を自ら必ず用意し、それを元に議論を進めるようにする!

それを積み重ねることで、

  • 叩き台として提出した資料
  • 議論を踏まえて修正された資料

という「目に見えるナレッジ」を蓄積していく!

みたいな書き方にすると、目標達成のために何をすればいいか明確になりますし、人事評価の際も「達成できたかどうか」を客観的に判断可能になります

パッと思いつく「具体的な行動」や「目に見える状態」の例としては、

  • 「DXの知識をつけるように努める」
    ではなく、
    「DXをテーマとする書籍を5冊以上読んで資料にまとめる」
  • 「社会の動きやトレンドにアンテナを張る」
    ではなく、
    「毎朝ニュースを確認し、業務に関連する情報があれば、その概要をメールで組織内に共有する」
  • 「スムーズに業務をこなせるようになる」
    ではなく、
    「上長の確認が一回で完了するようになる」
  • 「関係者から頼られるようになる」
    ではなく、
    「関係者が自分に直接、相談や問合せをしてくれる状態になる」

などがあると思います。

育成の方針

では具体的な育成の方針の話に入っていきますが、本を読むとそれぞれ色々なことが記載されています。

ある人

手取り足取り教えた方がいい!

と言っている本もあれば、

ある人

自分の頭で考えるために、一旦丸投げした方がいい!

と言っている本もあります。

これらの本は、矛盾しているというよりも、想定している育成対象者の状態が微妙に異なるためこのような相違が起きている、というのが私の理解です。

なので、育成対象者の状態ごとに、取るべき方針を整理していきたいと思います

以降は、

  1. 運転免許を取れていない状態
  2. 運転免許は取れたけど、初心者マークがついている状態
  3. 初心者マークが外れた状態

と育成対象者の状態を3分類に分け、育成方針を整理しています。

運転免許を取れていない状態

例えば新社会人の子など右も左もわからないという人たちは、自動車運転で例えると「運転免許を取れていない状態」に当たります。

他の業界から全く知見のない業界に入った中途採用者などもこの状態に該当しますね。

この状態の人たちに対しては、

ある人

自分の頭で考えて!

と言っても全く歯が立たないので、まずは「手取り足取り教えてあげる」というのが基本方針になります。

後輩・部下的にも、教える側の先輩・上司的にも、

  • はじめから全部を教えてあげて、
  • 質問されたら全部丁寧に答えてあげて、
  • とにかく「運転免許を取得」してもらう

とやっていき、仕事のスタートラインについてもらったほうが、お互い効率がいいと思います。

実際私も、新卒の頃はコピーの取り方すら分かりませんでしたし、

  • 敬語の使い方
  • Outlookのようなメールソフトの使い方
  • 電話での内線の回し方
  • 組織の構造(例:原課の課長と、総務課の課長の力関係など)

など、とにかく何も分かりませんでした。

そして、丁寧に教えた上で、後輩・部下には実際に手を動かしてもらいましょう。
手さえ動かし続けてもらっていたら、後輩・部下はすぐに脱皮してくれます。

運転免許は取れたけど、初心者マークがついている状態

一番はじめの右も左も分からない時期が過ぎたら、「運転免許は取れたけど、初心者マークがついている状態」に当たります。

ここからは、ある程度は自分で考えてもらうようにしましょう

とはいえ、後輩・部下が勝手に仕事を進めてしまうと問題が発生する可能性が高いので、

後輩・部下

この仕事は、このように進めたいのですが、問題ないでしょうか?

と、実作業に入る前に必ず作業方針を後輩・部下から相談してもらうようにし、それに対して明確に答えを教えてあげるようにしましょう。

ここら辺については先日記事を書きましたので、ご参考にしていただければ。

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また、ここからは様々な経験を積んでもらい、成功体験や失敗体験を積み上げてもらうことが重要になります。

ただ、失敗が続いてしまったり、大きな失敗をしてトラウマを抱えてしまうと、仕事への自信を失ってしまいます。

なので、後輩・部下の力量を踏まえて仕事の難易度はコントロールし、スモールな成功を積み上げてもらうように丁寧に仕事を振る必要があります。

当然、もし後輩・部下が失敗したら、先輩・上司はフォローしなければいけません。

初心者マークが外れた状態

後輩・部下が自ら作業方針を提案する習慣がついてきたら、自動車運転でいうと「初心者マークが外れた状態」に当たります。

対応は、基本的に前フェーズと同じで、

  • 実作業前に、作業方針を相談してもらう
  • 失敗が続いたり、大きな失敗でトラウマを抱えないように仕事の難易度をコントロールする
  • 失敗したら先輩・上司がカバーする

といったことを継続することになりますが、後輩・部下に自ら考えてもらう割合を増やしていくことなります。

例えば、前フェーズだと後輩・部下から作業方針の相談が来た際は明確に答えを教えていましたが、このフェーズになると、

上司

この作業方針だと、XXXという問題が出てくるよね?

それを踏まえて、もう一度改めて作業方針を考えてみてくれない?

と、すぐに明確な指示を与えず、何回か差し戻すことが多くなります(最後は明確な指示を出さなければいけませんが)。

「問いかけ」を通して、様々な経験を積んでもらい、成長につなげてもらいます。

ちなみに、これは様々な人材育成の本に書かれていますが、後輩・部下に、

上司

自分の頭で考えろ!

どれだけ言っても、考える癖はつきません。

そうではなく、考える癖をつけてもらうためには、

上司

こう考えた理由を、詳しく教えてくれない?

とか、

上司

これだとXXXという問題が出て来そうだけど、どう修正すればいいかな?

などと「問いかけ」を行うことが重要になります。

オススメの書籍

「後輩・部下の育成」に関連したオススメの書籍は以下の通りです。

『人を動かす』

『自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書』

『3分間コーチ』

『BCGの特訓』

『世界基準の上司』

『いちばんやさしい教える技術 「教えること」を教える先生が書いた』

おわりに

いかがでしたでしょうか?

お仕事の参考になれば幸いです!