こんにちは!
フェルミ推定の考え方、フェルミ推定でよく使う数字、フェルミ推定の実例の記事を書いてきました。
フェルミ推定では数字の置き方が結構重要なのですが、フェルミ推定関連の本とかを読むと、大抵は計算式にフォーカスして書かれています。
なので、
フェルミ推定で数字を置く時にどう考えればいいの?
と悩んでいる人向けに、私なりの「数字の置き方」をご紹介します。
先日の記事はこちらからご覧ください。
はじめに:網羅感とかMECEとか
もしかしたら、目次を見て、
全然網羅的じゃないし、MECEに構造化できてないな
という感想を持つ人がいるかもしれませんが、あえて網羅感やMECEを意識せず書いてます。
今回の記事の目的は、
フェルミ推定の数字の置き方について、私が実戦で編み出したり先輩に教えてもらった考え方を紹介する!
そして、実務で使ってみてもらう!
というものであり、実戦で使用頻度が高いと思うものをピックアップして紹介することになるため、必然的に網羅感・MECEから遠くなります。
このため、あえて網羅感やMECEは意識せず、箇条書き形式で記載しています。
あらかじめご了承ください。
「MECEをどこまで担保すべきか」については、別途記事を書いておりますので、ご参考にしていただければ。
現場をイメージして推定する
「数字の置き方」の考え方の1つ目は、「現場をイメージして推定する」です。
これは、
現場がこんな感じになってるだろうから、こんな数字になるだろう
と考えるもので、基本中の基本になります。
「ジムのフェルミ推定の実例」の記事で、「休日 × 日中のジムの稼働率」を考えるにあたり、
ランニングマシーンが10台あるとして、8,9台は使用されているイメージ!
だから、85% !
としましたが、これがまさに “現場をイメージしてみる” ということです。
この考え方を使うと、いきなり
休日 × 日中のジムの稼働率は、80-90%くらいだろう
と説明するよりも、
休日 × 日中のジムの稼働率は、ランニングマシンの状況がこうだろうから、80-90%くらいだろう
といった感じで情景が思い浮かぶため、説得力が全然違います。
なにより、この考え方に沿って説明することで、その後のディスカッションが捗るようになります。
うーん…
ランニングマシンの状況からジム全体の稼働率を推定して大丈夫かな?
『ランニングマシン=ジムの象徴』というイメージがあったんで、ランニングマシンからジム全体の稼働率を推定しました。
でも、ランニングマシンではなく、筋トレマシンとかを起点にした方が良いですかね?
ランニングはさ、別にジムじゃなくても外で出来るよね?
ジムに来る人は、ランニングマシンより筋トレマシンの方を目当てに来てる可能性が高いんじゃないかな?
確かにそですねー。
であれば、筋トレマシンで考え直すと、うにゃうにゃ
上下の幅を考えて推定する
次の「数字の置き方」の考え方は、「上下の幅を考えて考察する」です。
ドンピシャな数字がわからなくても、上限と下限は何かと照らし合わせると何となくわかることが多いので、それを使います。
上下の幅を考えた上で、その幅の中でどこら辺に数字が位置しているかを考えます(最悪、中点を取る)。
「ジムのフェルミ推定の実例」の記事で、「日本にあるジムの数」を考えるにあたり、
ジムの数は、おそらく映画館の数(800)よりは多いだろうが、警察署の数(6000)よりは少ないだろうな。
だから、ジムの数は、2000くらいかな?
と記載しましたが、これがまさに “上下の幅を考えてみる” ということです。
分解して推定する
次の「数字の置き方」の考え方は、「数字そのものをストレートに推定せず、挙動・動態が異なるであろう部分で分解して推定する」です。
「ジムのフェルミ推定の実例」の記事でも書きましたが、分解して考える際は、
- 具体的にどんな数字を置くかよりも、分解した各パターン同士で整合性が取れているか
の方が重要です。
色んな切り方がありますが、主なものを何点か紹介します。
時間で分解する
例えば、「ラーメン屋の席の稼働率」の数字を置く時に、
昼・晩の飯時と、それ以外の時間帯では明らかに稼働率が異なるだろうなぁ
と、「飯時」と「それ以外の時間帯」に分けて数字を置き、加重平均をとって合算したります。
他の「時間で分解」の例として、
初週はこのくらいの量、2週目はこのくらいの量、3週目は…
と、時間の経過で分解するのも手です(ラーメン屋の稼働率では使えませんが)。
人の属性で分解する
例えば、「メガネをかけている人の割合」の数字を置く時に、
幼い子供・学生・社会人・シニアでは、明らかにメガネ率に差があるだろうなぁ
と考え、幼い子供・学生・社会人・シニアに分けて数字を置き、加重平均をとって合算したりします。
ちなみに、私の中での各属性のメガネ率のイメージは、
- 幼い子供:
メガネが多い印象です。
幼い子の目に異物(コンタクト)を入れるのは親としてはちょっと二の足を踏みそうだからです。
コンタクトの着脱も親がやってあげる必要があるだろうし手間でしょう。 - 学生:
コンタクトが多い印象です。
まず、スポーツをする人はメガネをほぼかけないです。
それに、思春期でオシャレしたい時期なので、メガネを嫌がりそうです。 - 社会人:
メガネが多い印象です。
PCを長時間使う前提だし、疲れ目・ドライアイにならないように、目に酸素を直接送り込めるメガネが人気そう。 - シニア:
メガネが多い印象です。
老眼で遠近両用メガネを使い出します。
また、コンタクトみたいな小さいものを扱うのがしんどくなってくると思います。
といった感じです。
前提条件を整理して推定する
次の「数字の置き方」の考え方は、「その状況になるには、どういう条件が揃わないといけないか?と考えて推定する」です。
例えば、「農薬散布用のラジコンを買う農家の割合」の数字を置く時に、
農薬散布用のラジコンを買う農家って、どんな農家だろう?
と考え、その前提条件を整理して数字を置いていきます。
具体的には、
- 果樹の間をラジコン飛ばす訳ない
- 畑作であればラジコンじゃなくて車輪の着いた機械で散布すれば良い
と考え、
だから、農薬散布をラジコンでやるのは、水の張った田んぼを管理する必要のあるコメ農家くらいじゃないか?
農家のうちコメを作っている農家は50%くらいかな?
とした上で、さらに、
ラジコンでやるということは、手で散布するのは無理なくらい大きな田んぼを持っている農家だろう
コメ農家のうちそこまで大規模なのは20%くらい?
と考え、「農薬散布用のラジコンを買う農家の割合 = 50% × 20% = 10%」としたりします。
商品構成やプロモーションから推定する
次の「数字の置き方」の考え方は、「商品構成やプロモーションから推定する」です。
人の好み・嗜好傾向などは目に見えないので、イメージで数字を置くのは難しいです。
一方で、企業の商品構成やプロモは目に見えます。
商品構成やプロモは、人の好み・嗜好傾向などを踏まえて設計されているはずなので、商品構成やプロモなどから、人の好み・嗜好傾向を推定します。
例えば、「今晩焼肉を食べる人の割合」の数字を置く時に、
食べログでお店を検索する時に、”焼肉”というジャンルで検索できるな。
食べログでは、料理のジャンルが12個くらい並んでた気がする。
なので、人は外食する場所を選ぶ際に、1/12 = 8%の確率で焼肉を選ぶのでは?
と考える感じです。
他の例だと、「この1年間で売れた全書籍の中でマンガが占める割合」の数字を置く時に、
本屋の商品棚の構成は、実際の売れ行きを踏まえて設計されているのだろう。
大抵の本屋では、マンガコーナーが全商品棚の中で30%くらい占めている気がする。
なので、この1年間で売れた全書籍の中でマンガが占める割合も30%くらいではないか。
といった感じで考えていきます
自分の地元・周りの人を基準に推定する
次の「数字の置き方」の考え方は、「自分の地元・周りの人を基準に推定する」です。
自分の体験を元に数字を設定することになるため、単純に
うちの周りではこうだったんで!
と行っても説得力がないので、その後に調整をすることを忘れないでください。
いくつかパターンを見ていきましょう。
地元を基準にする
例えば、「日本の映画館数」の数字を置く時に、
地元の仙台市では映画館がX個ある!
仙台市の人口は100万人であり、120倍すれば日本の人口になる。
だから、仙台市の映画館の数も120倍すれば、日本全体の映画館の数になる!
と考えるイメージです。
これだけで終わらず、必ず調整しましょう。
ただ、仙台市は大学が沢山あって大学生が多い街だ。
おそらく日本平均に比べて映画館の設置率は高いので、その分を割り引く必要があるだろう。
日本全体だと映画館は○○個じゃないかな。
といった感じです。
身の回りの人を基準にする
例えば、「釣りが趣味の人の割合」の数字を置く時に、
私の周りの友人10人を思い浮かべると、釣りをする人が2,3人いる。
だから、釣りが趣味の人の割合は20-30%くらいではないか?
とまず考えます。
これだけで終わらず、必ず調整しましょう。
ただ、私の周りの友人は、田舎出身の人が多いし、男性ばかりだ。
首都圏と田舎の人口比や、男性と女性の人口比を考えると、半分から1/4まで割り引かないといけないかも。
なので、釣りが趣味の人の割合は、5-10%くらいではないか?
といった感じです。
クラスで何人?を基準にする
例えば、「社会人のうち営業マンの割合」の数字を置く時に、
この前の同窓会を思い浮かべると、30人いたクラスのうち、3人は営業マンになってるなぁ。
だから、3人/30人 = 10%くらいかな?
とまず考えます。
これだけで終わらず、必ず調整しましょう。
ただ、うちの地元はメーカーが多くて、大抵は営業マンでなく加工職人になるんだよなー。
だから、全国平均だともっと割合は高そう。
といった感じです。
主要なものを挙げて 「これらで全体のX%を占めるなら」 と推定する
次の「数字の置き方」の考え方は、「主要なものを挙げて『これらで全体のX%を占めるなら』と推定する」です。
ここまで来るとだいぶ説得力が下がってくるんですが、中々想像がつかない数字の時に、
- 思いつく限り具体例を幅出しし、
- 「これらで全体の60%(or 80%など)を占めるなら」と検討範囲を絞り込み、
- 幅出しした具体例の内での比較で数字を検討していく
といった感じで数字を設定していきます。
例えば、「パック麦茶を常用している家庭の割合」の数字を置く時に、
各家庭が食事の際に日常的に何を飲んでいるかを考えると、
- 水道水
- ミネラルウォーター
- パック麦茶
- ペットボトルのお茶
- 急須で入れたお茶
の5つが主要なところかなぁ。
他にも、
- 食事の時に牛乳を常用している家庭や、
- ジュースを飲んでる家庭
など、理論上は色々考えられるけど、少数派だと思う。
と幅出しをまずした上で、
この5つのいずれかに当てはまる家庭が全体の80%くらいになるのでは。
と範囲を絞り込み、
この5つの飲み物内のシェアは、
- 水道水 15%
- ミネラルウォーター 30%
- パック麦茶 30%
- ペットボトルのお茶 15%
- 急須で入れたお茶 10%
といった感じだろう。
とした上で、最終的に、
だから、全家庭の中でのパック麦茶のシェアは、
- 80% × 30% = 24%
だろう
としていきます。
おわりに
以上です!
ぜひ参考にしてみてください!