こんにちは!
今回は「論点」の重要性や典型的パターンについてご紹介します。
論点に関しては以前から
スキルや思考法を紹介するブログなのに、論点の記事を書いてないのはマズいよなぁ・・・
と思っていたのですが、内容が重すぎるので尻込みしていました・・・(すいません)
しかし、なんとか自分に鞭を打ち、どうにか重い腰を上げ、普段頭の中で考えていることを言語化してみました。
ぜひご参考にしていただければ幸いです!
では、早速いきましょう!
論点とは
この記事の中では「論点」という文言を使っていますが、ビジネスの現場では他にも
- 問い
- キークエスチョン
- イシュー
などと呼ばれることがあります。
学問の世界では、「リサーチクエスチョン」という文言の方が一般的かもしれません。
論点とは、議論する/検討する項目のことです。
もっとシンプルにいうと、”自分がこれから解を出さなければいけないこと”が論点になります。
学校教育における試験では、
tan1°は有理数か?
とか
救急車を有料化すべきか否か?あなたの考えを論じなさい
といった問題が出てきますが、
まさにこの「”問題自体”を自分で作る」という作業が、”論点を考える”ことになります。
学校までは問題は与えられるものですが、ビジネスマンだろうと公務員だろうと学者だろうと、社会人になったら問題自体(=論点)を自分で設計する必要があります
以下は、実際にビジネスの現場で論点が活用されている事例です。
なお、論点の形式については別に正解はないのですが、こだわりがないのであれば
論点とは何か?
のように、疑問文で書いてお尻に「?」を付けることをオススメします。
なぜかというと、疑問文で書いた方が”シャープな問い”になって頭に入りやすいからです。
例えば
地方分権の功罪について、あなたの考えを論じなさい
と書かれるのと、
地方分権の功罪は何か?あなたの考えを論じなさい
と書かれるのでは、どう感じますか?
なんか前者の方はフワッとした感じがしませんか?
これは日本語的に当然なことであって、
- 「地方分権の功罪は何か?」はそのまま”問い”であるのに対して、
- 「地方分権の功罪について」は厳密に言えば“テーマ”や“観点”であって、自分の頭の中で“問い”に変換しなければならない
という違いがあるからです。
そして、「地方分権の功罪」というテーマを問いに変換しようとすると、
- 地方分権の功罪は何か?
- 地方分権には功罪があるが、推進すべきと考えるか?
- 地方分権の功罪を改善するには?
など、沢山の問いの候補が出てきます。
「地方分権の功罪について」という書き方だと、問いがストレートに規定されていない(いくつかある”問い”の候補から選ばなければいけない)ので、フワッとした感じに見えるのは当然なのです。
小論文の試験では、
問い自体も自分で立てなさい!
という趣旨で「地方分権の功罪について、あなたの考えを論じなさい」と書いてもいいと思います。
一方で、自分で物事を考える際は、当然テーマだけ念頭においても思考は進まないので、はじめから問いの形にした方がいいです。
また、人間の脳は、問いを提示されると、自動的に考え始める習性があります。
これは疑問文に限らず、
夏バテの解消に効果的な野菜は、○○○だった!
という穴埋めの文章を見た時も同じです。
自動的に何が入るのかを考え始めてしまいます。
この“自動的にスイッチが入る”も上手く活用できれば最高なので、特段のこだわりがなければ論点は疑問文の形で書くことをオススメします。
論点はなぜ重要なのか
アインシュタインは
私が地球を救うために1時間の時間を与えられたとしたら…。
59 分を問題の定義に使い、1分を解決策の策定に使うだろう。
と言ったとされてますが、そのくらい問題(=論点)の設定は重要です。
では、なぜ論点がそこまで重要なのでしょうか?
論点がなぜ重要なのかというと、論点設計の良し悪しが、解の良し悪しに直結するからです。
具体的にいうと、問いが悪いと、❶解を出すのに時間がかかるし、❷解がもたらす効果も小さくなりやすいです。
まず、問いの良し悪しで、解を出すスピードが変わります。
ビジネスだろうと公務員だろうと、仕事にはタイムリミットがあります。
そんな中で、あなたが取り組む問いが“悪問”だったら、解くのに時間が必要以上にかかることになります。
もしくは、そもそも解けない問題を作ってしまうかもしれません。
例えばあなたがカフェの店長だったとして
地域の人口が減っていて、将来的にうちのカフェに来てくれる人数が減るかもしれない!
「どうすれば地域の人口減少を食い止められるか?」について考えよう!
と考えるのはオススメしません。
なぜなら、「人口減少」は1つのカフェ店が解決できる問題ではないからです。
大学受験を3ヶ月後に控えている高校生が、
なぜ戦争は無くならないのか?
と一日中考えているくらい筋が悪いです。
趣味として考えるなら好きなだけすればいいと思いますが、カフェの店長がビジネスとして「どうすれば地域の人口減少を食い止められるか?」という問いの検討に時間をかけるのは筋が悪すぎます。
さらに、論点設計の巧拙で、問いに対する解の精度までが上下します。
例えば、あなたの友人が
英会話の勉強をしてるんだけど、TOEICのリスニングの点数が伸びないんだ・・・
どうすれば英語のリスニングが伸びると思う?
と言ってきた時、あなたはどうアドバイスしますか?
今回の論点は、
どうすれば英語のリスニングが伸びるか?
ですが、このまま解を考え始めて大丈夫でしょうか?
解を考える前に、論点を工夫できないでしょうか?
ここでは数学の「誘導問題」の考え方が使えます。
以下の数学の問題を見てみてください。
黒玉3個、赤玉4個、白玉5個が入っている袋から玉を1個ずつ取り出し、取り出した玉を順に横一列に12個全て並べる。
- どの赤玉も隣り合わない確率pを求めよ
- どの赤玉も隣り合わない時、どの黒玉も隣り合わない条件付き確率qを求めよ
上記の問題例を見ていただければ分かる通り、本来なら(2)を直接問うてもいいところ、(1)を設けることで(2)を解く難易度が若干下がっています。
このように、最終的な問いとは別に、中間ステップの問いが設けられているものを「誘導問題」と言います。
この考え方をビジネスなどの場面に応用できたら、問題を解く難易度が格段に低くなると思いませんか?
今回の「どうすれば英語のリスニングが伸びるか?」についても、誘導問題の考え方を導入して、中間ステップの問いを設けてみましょう。
- 中間ステップの問い:
なぜ英語を聞き取れないのか?
音声変化を理解できていないのか、そもそも単語力が足りていないのか、音は聞けるけど意味を取れないのか? - 最終的な問い:
どうすれば英語のリスニングが伸びるか?
いかがでしょうか?
いきなり「どうすればリスニングが伸びるか?」の解を考えるよりも、上記のように①②のステップで考えた方が“芯をくった解”を出せそうじゃありませんか?
以上のように、論点設計が上手いか否かで、ビジネスなどにおける課題をより効率的かつ効果的に解決できるようになるのです。
参考:どんな場面であっても「今回の論点は何か?」が一番の論点
議論/検討において論点は非常に重要になります。
これはつまり、議論/検討をする際は、「今回の議論/検討の論点は何か?」が一番重要な論点になるということです。
私のいる経営コンサルティング業界では、
- 売上が年々下落しているが、どうすれば食い止められるか?
- 3年後の利益を1.5倍にするためにはどうすればいいか?
- 新規事業として何に取り組むべきか?
といったクライアント企業の検討プロジェクトのサポートをすることがメイン業務になります。
ここで皆さんに質問です!
ある企業が
検討プロジェクトをやりたいなぁ。
色んな経営コンサル会社に声をかけて、一番良さげな会社に発注しよう。
とコンペをすることを考えたとします。
この場合、今回の検討プロジェクトでの“一番良さげな経営コンサル会社”を、クライアントはどのように選定すると思いますか?
一般的な営業であれば、具体的な製品があるため、それを比較し
今回は製品Aを発注しよう!
と決めればいいことになります。
一方で、「これから始まる検討プロジェクトのサポート業務」の場合は、まだ検討が始まっていないので、どういったアウトプットが出てくるかをコンサル会社側から当然提示できませんよね。
こういった場合、今回の検討プロジェクトでの“一番良さげな経営コンサル会社”を、どのように選定すると思いますか?
話の流れ的に分かると思いますが、この場合は各コンサル会社が
この検討プロジェクトをやるなら、こういう論点設計やアプローチでやるのがオススメですよ!
とそれぞれ提案し、その提案された論点設計/アプローチを比較してクライアントは今回どこに発注するかを決めることになります。
つまり、経営コンサル会社としては、案件を受注するためには論点設計の実力を示す必要があるということです。
また、受注後に実際に検討プロジェクトが開始された後も、一番初めの打合せは「プロジェクト全体を通しての詳細な論点設計の擦り合わせ」を議論することになりますし、
検討プロジェクトが一定進んだ後も、「論点は今までのものと同様で大丈夫か?検討の進捗を踏まえ、論点を進化できないか?」を常に議論することになります。
「今回の論点が何か?」が一番重要な論点である、ということは常に心の中に刻んでおきましょう!
論点設計の具体的なパターン
正直、論点の考え方だけを聞いても
ふーん…
分かったような、分からないような…
という感じだと思いますので、具体的なパターンをご紹介したいと思います。
私の公務員/コンサルの経験を踏まえ、実践で使いやすいであろう論点設計をいくつか見繕ってみました!
ちなみに、あらかじめ今回の論点設計の形をご説明すると、
- 1文目は、「最終的に答えを出さなければいけない論点」
- 2文目以降の①-③は、1文目をブレイクダウンした論点
という記載になっています。
つまり、
①-③の論点を順番に検討していくと、1文目の「最終的に答えを出さなければいけない論点」を検討したことになる!
という形になっています。
では1つずつ行きましょう!
課題解決:医者の問診パターン
患者の不調を治すには、どのような対処をすればいいか?
- 問題はどこにあるか?患者はどういった人で、どこを痛がっているか?
- 論点①の「問題」の原因は何か?なぜそこが痛いのか?
- 論点②の「原因」を取り除くため、具体的に何をしたらいいか?
問題解決の基本中の基本で、困ったらとりあえずこれを思い出しとけばいいというくらい定番の論点設計になります。
「問題が生じた際に、いきなり解決策のアイデアをブレストし始めてしまう」というのは割とよく失敗例なので、そんなときは
解決策のアイデアを考える前に、なんでこのような問題が起きてしまったのか、その原因を考えませんか?
と仕切るようにしましょう。
この論点設計のポイントは、②の「原因は何か?」のところでしょう。
というのも、
解決先を考える前に、原因を特定しないとダメだ!
という事は理解している人でも、意外と①の「問題はどこか?」だけやって、それを原因として捉えてしまっている場合があるからです。
これはつまり、
最近、私の模擬試験の合計点が減っているんだよなぁ・・・
という時に、
減っている原因を調べたところ、数学の点数が著しく下がっていることが分かりました!
数学テストの不調が、模擬試験の合計点が減っている原因です!
みたいなことを言ってしまうイメージです。
「数学テストの不調」が、模擬試験の合計点の減少を引き起こしているのは事実です。
だから、日本語的にいうと、「数学テストの不調が、模擬試験の合計点減少の原因」というのは間違いではありません。
あくまで“日本語的にいうと“ですが。
ただここで、前述した“誘導問題”の考え方を思い出してください。
中間ステップとして「原因は何か?」という論点をわざわざ組み込んだ理由は何でしょうか?
この論点を組み込むことで、最終的な論点である「どのような対処をすればいいか?」を解きやすくするためですよね。
なので、この論点設計における“原因”は、効果的な対策を考えられるレベルまで深堀られていなければなりません。
そう考えた時、「数学テストの不調」を”原因”としていいでしょうか?
「数学テストが不調だから」で止めずに、「なぜ数学テストが不調なのか?」まで深堀らなければ効果的な対策は取れなさそう…
と考える人が多いと思います。
- 勉強を後回しにしている単元が出たから点数を取れなかったのか、それともこれまで勉強してきた単元が出たのに失点しているのか
- 解き方が全然わからないのか、解き方はわかるけど途中で計算ミスしているのか
などが分からないと、具体的な対策は取れないですよね。
なので、「数学テストの不調」を”原因”としてはいけません。
この論点設計における“原因”は、効果的な対策を考えられるレベルまで深堀られていなければない、という事は心に刻んでおきましょう!
選択肢の択一:文理選択パターン
自分は文系と理系どちらに進むべきか?
- 自分が取り得る選択肢として、どういったものがあるか?
- 論点①の各選択肢をいくつかの観点で比較すると、それぞれどういった差異/特徴があるか?
- 自分自身の事情を踏まえると、論点①の選択肢のうち、どれを選択すべきか?
これもよく使う考え方ですね。
以前にメリデメ表の記事も書きましたので、そちらもご参考にしていただければ幸いです。
この論点設計で特に重要なのは③です。
③の論点の中で「自分が置かれている固有の文脈・目標など」を具体的に考えましょう。
すると、自分にマッチしたオーダーメイドな比較軸が見えてきて論点②の解が修正されたり、もしくは「比較軸Aよりも比較軸Bの方が2倍重要だ」といったウェイトの変化が生じたりするからです。
②までなら割と一般的で抽象的な検討になってしまうことが多いのですが、③を深掘りすることで、より“血の通った”検討をすることができます。
ポートフォリオ構成:衣服の断捨離パターン
大量の衣服を断捨離するにあたり、どれを残すべきか?
- 衣服をどのようにカテゴリー分けすべきか?
- 論点①のカテゴリーごとに、捨てる/残すの判断基準をどう設定するか?
- 最終的に残した衣服できちんと生活できそうか?
断捨離をする目的に照らした際に、問題なさそうか?
この論点設計は割と応用が効きます。
上記の例だと「捨てるか残すか」を判断していますが、「どこに資金を投入するか」などを考える上でも使える論点です。
ビジネスであれば、PPMと呼ばれる事業ポートフィリオ設計などはまさにこの考え方で整理することになります。
ブランドポートフォリオ、小会社の再編、研究開発プロジェクトの管理などもこの考え方でいけます。
特に「最初にカテゴリーを分ける」というのがポイントになります。
野球選手を評価するときは、最低でも投手/野手に分けてそれぞれ評価基準を変えないと、訳わからない結果になってしまいますよね?
野球で例えられるとすぐ分かると思いますが、「混ぜちゃいけないものを混ぜて考えてしまっている」ということはよくあります。
例えば、公務員が
人員割り振りの適正化をしよう!
人員に比較的余裕がある部署から、人員が足りない部署に職員を移動させよう!
というケースを考えてみましょう。
この場合、一般的な部署と、災害対策の部署を同一指標で比較してはいけません。
まかり間違っても、
市民課は月平均50hの残業が発生しているのに、災害対策課は月平均の残業は0だ!
市民課は人が足りなく、災害対策課は人が余っているということだから、人員を移動させよう!
みたいなことはしてはいけません。
災害対策課の本業は、「災害が発生してから」になります。
にもかかわらず、平時から災害対策課の残業時間がそれなりにあったら意味がわからないでしょう。
そんな状況で災害が発生したら間違いなく業務がパンクしてしまいますからね。
つまり、一般的な部署と、災害対策の部署は全く異なるジャンルのものとして、カテゴリー分けする必要があるのです。
優位性の判定:恋人になれる見込みの判定パターン
Aさんの恋人候補として、自分は勝ち目がある方か?
- 誰の視点が重要になるか?最終的な決定権者として誰を設定すべきか?
- 論点①の者の評価基準はどうなっているか?
どの観点を見られ、そのうちどこのウェイトが高いか? - 論点②の評価基準に照らして自分とライバルを比較したとき、自分は優勢か?それとも劣勢か?
これもよく使う考え方なのですが、意外と世間一般では知らない人が多い考え方です。
上記だと恋愛の場面が取り上げられていますが、
- ビジネスで顧客を獲得したい場面
- 大学受験で、第一志望に受かりたい場面
- 漫才コンクールに出場して審査員から高評価をもらいたい場面
など、様々な場面で活用できますので、まさに“知ってると有利になる”論点設計です。
この論点設計のポイントは、
- 優位か否かは、何かと比較してはじめて判定できる
- 比較する際の軸は、決定権者の評価基準によって決まる
の2つです。
ニュースとかを見てると、
日本の果物は、品質に強みがある!
みたいな報道を時々見ますが、こういったニュースを見た際は、
何と比較した上で強み弱みを判断しているんだろう?
誰を決定権者として設定しているんだろう?
と考える癖をつけることをオススメします。
蓋を開けてみると、
何とも比較してないし、決定権者が誰かも考えてないけど…
試食してもらったら「日本の果物は品質が高いね」と言ってくれたから、これが強みだと思った
みたいなザックリしている場合が多いです。
ただこの場合、海外の消費者が
果物を選ぶ際は、まずは価格の安さが重要だよ!
と考えている場合は、品質がどれだけ高くても購入されないことになります。
ちなみに、
自分に好意を示してくれる人のうちから、恋人を選ぶ!
という判断基準を持っていう人が多いことも理解しておくと便利です。
つまり、「自分の手の届く範囲の中から選ぶ」という判断基準を持っているということです。
この場合は、告白しないと土俵にすら上がれないことになりますね
これはビジネスでも同様でして、どんなに製品が優れていても、購入者がアクセスできないと購入できません。
スモールビジネスでは顕著なのですが、例えば
あなたの英語学習をサポートします!
という「英語コーチング」のサービスをやり始めた個人事業主がいるとします。
多くの人は、その個人事業主を見て
今はプログロリットとかライザップイングリッシュとか、様々な英語コーチングサービスがあるのに、その領域で個人で戦おうとしても勝てないでしょ
と思ってしまうものなのですが、実際はそれなりに客がついたりします。
なぜならプログリットなどの大手の英語コーチングサービスにアクセスできない人が一定数いるからです。
アクセスできない理由としては、
- 価格が高すぎて手が出ない!
- 英語コーチング会社側のコーチの空きがないからサービスを受けられない!
- “3ヶ月”という英語コーチング会社の期間設定だと、短すぎる/長すぎる!
- そもそも英語コーチング会社の存在を知らない!
などなどが挙げられます。
「自分の手が届きそうか否か」を評価基準として重視する人も多い、ということはぜひ覚えておきましょう!
Good/Badの判定:今の仕事の良し悪しパターン
今の仕事は、自分にとって好ましいか?それともあまり良くないか?
- 自分にとって、どういう状態が望ましい/望ましくないと言えるか?
- 過去から現在までの状況を整理すると?
- 論点②で整理した事実を、論点①の「自分にとって望ましい/望ましくない状態」と照らした際、どう解釈すべきか?総括的に見て、良い状態なのか悪い状態なのか?
- ❸-1. 現在は、“良い状態”に十分満たしているか?十分でない場合どのくらいギャップがありそうか?
- ❸-2. 過去に比べどういう変化が生じているか?そのベクトルは良い方向か悪い方向か?
前述の「優位性の判定」は、“第三者が審判”というときに活用するものですが、この論点設計はもっと包括的で様々な場面で使用可能です。
ポイントは
- 事実を問う論点と、解釈を問う論点を明確に分けること
- 小論点③で解釈をするときは、「絶対値」と「変化率」に分けて考えること
の2つです。
ゴッチャにして考えてしまいがちなものを明確に分けて、論理をスッキリとさせる論点設計になっています。
なお、“解釈を具体的にどうやるか“は結構難しいところでして、実務上はちょっと工夫が必要になります。
こういう場合は「優」、こういう場合は「良」、こういう場合は「可」、こういう場合は「不可」!
と明確な診断表を作れたら分かりやすいのですが、往々にして作れないことが多いです。
その場合は、
他者の一般的な状態をベンチマークとして、それより上なら◯、下なら×とする
とか
事実1に着目したらA評価、事実2に着目したらB評価だなぁ。
ただ、自分の置かれている状況を踏まえると、事実1の方が重要!
だから総合判断では、事実1のウェイトを高くして、「A-」(Aマイナス)とする!
とか
絶対に避けたい状態に該当さえしなければ、全て「良」にしてしまおう
といった感じで、色々と創意工夫をすることになります。
なお、参考までに、Good/Bad判定の難しさを示す一例をご紹介します。
あなたが小学校の担任の先生だとして、
これからテストするよ!
終わった人から提出してね!
と言いました。
すると、子どもたちは静かにテストに取り組み、チラホラと提出する人も出てきました。
そして、提出完了した子どもたちが、机に座りながら隣の人と雑談を始めたとします。
この状況をあなたはどう評価しますか?
Goodですか、それともBadですか?
結論からいうと、数ヶ月前の子ども達の状態がどうだったかを把握しないと、良いも悪いも言えません。
単純に、
いや、「他にまだテストしている人がいたら、自分が終わったとしても静かにしなければいけない」というのは当然だろう!
その基準に到達していないのだから、Badに決まっている!
学校の先生が厳しく叱りつけるべき!
という人もいるかもしれません。
ただ、数ヶ月前の子ども達が、
数ヶ月前は、テストが開始した直後から皆机に座らずに立って歩いていた。
テストなんて真面目に受けていなかった。
とか
数ヶ月前は子ども達の仲が悪く、お互いいがみ合ってた。
仲良く雑談なんてせず、文句を言い合うか、もしくは無視し合っていた。
という状態だったらどうでしょうか?
そういうマイナスの状態から変化して今の状況に落ち着いているのであれば、
確かに現在の状態も、100点満点ではない。
ただ、ここ数ヶ月で子ども達はどんどん成長してきている。
「改善トレンドが継続している」ということが何よりも重要だから、この状態でもGoodを上げていいのでは?
少なくとも学校の先生が厳しく叱りつける場面ではない。
と考える人は多いと思います。
ここら辺は教師向け動画をあげられている「宮澤悠維教育研究所」チャンネルの動画を見ていただくと、もっと理解が深まると思います。
【学級経営】学級が毎年荒れる教師の共通点。
将来予測:犬と猫の人気予想パターン
将来的に、ペットとして犬と猫はどちらが人気になりそうか?
- ペットとしての犬と猫の在り方に大きな影響を与える要素(ドライバー)として、どういったものがあるか?
- 今後予想される主要な環境変化にどのようなものがあり、それらは論点①のドライバーにどのような影響を与えるか?
- 論点②の「各ドライバーの将来的な予測」をまとめると、全体として犬と猫の人気はどうなりそうか?
これは将来予測を行なう際に用いる論点設計で、「要素(ドライバー)に分解し、それぞれの挙動を分析して、それをまとめて最終結論を出す」というものです。
ファイブフォース分析とかも同じ考え方ですし、シナリオプランニングとかもそうですね。
ポイントは全体をまとめるところでしょう。
はじめてやると「各ドライバーの将来予測をまとめて全体の予測を出す」というところで悩んでしまうことが多いですが、2つコツがあります。
「全体をまとめる」際のコツのひとつ目は
一つの結論を出すのが難しそうなら、場合分けして結論を出す!
というものです。
例えば将来予測のパーツとして、「今後も人口の東京集中が続くのか、もしくは地方分散が進むのか」が重要な観点だったとして、
東京集中、地方分散のどちらもあり得るなぁ
と考えている場合は、
- 東京集中パターンなら、こういう結論
- 地方分散パターンなら、こういう結論
といった感じで2パターンの結論を出しましょう。
予測なんてどこまで行ってもあやふやなものです。
ただでさえアヤフヤにもかかわらず、強引に選択肢を選んで一つの結論を出すのはかなり危険です。
強引に一つの結論を出すよりも、場合分けして結論に「幅」を持たせた方が、今後の動き方を考える上では有用な場合が多いです。
なお、注意が必要なのは、「変化の方向性が1つだけではないものも多い」ということです。
つまり、“変化が循環するもの”も多いということです。
例えば、「女子高生のソックス丈は何年か周期で長くなったり短くなったりする」というのが典型例と言われていますが、ファッション業界は20年周期でトレンドが循環すると言われています。
ビジネスの世界を例に取ると、基本的に好況/不況は交互に来ます。
なので、“変化が循環するもの”については、前述の通り
こっちのトレンドに行った場合は◯○、もう一方のトレンドに行った場合は××
と場合分けして考えるか、もしくは
どうせ循環するんだから、”いってこい”で「変化なし」という前提で考えよう
と「変化なし」として処理する、のいずれかを取る必要があります。
「全体をまとめる」際のコツの二つ目は、
全体をまとめる時に複雑になり過ぎるなら、特に重要なドライバーを2個ほど選んでそれで結論を出す!
その結論への“味付け”として他のドライバーを薄く振りかける!
というものです。
これはの「複雑な検討での論理展開の考え方」という記事でも書きましたが、事象が複雑になりすぎて頭がこんがらがるときは、重要なものに絞ってまずはそれだけで考えましょう。
重要なものをもとに結論を出し、その上で
この結論に、他のドライバーが影響与えるとしたら、どんな感じかな?
と考えましょう。
「重要なものから考える」というのはいずれの場面でも重要です。
あるべき姿のデザイン:理想の父親像パターン
自分は父親としてどう振舞うべきか?
- 周囲からは、どういった父親になることを求められているか?
関係者(妻、子どもなど)が現状満足しているところは何で、不満があるところはどこか? - 自分が父親としてできることは何で、できないことは何か?(やりたい/やりたくないの意思含む)
- 論点①と論点②を突合させると、自分が目指すべき父親像の全体像/方向性はどういったものか?
- 論点③の「目指すべき父親像の全体像/方向性」から逆算すると、具体的にどのような行動をするべきか?
これは、あるべき姿(=目指すべきゴール)を設定するときに使う論点設計です。
あるべき姿を考える際は、
- 求められていること
- できること
の重なる部分を探すことが基本になります。
ちなみに高度な話をすると、論点③と論点④を入れ替えるべきシーンもあります。
つまり、「具体的なパーツをまずは考えて、そのパーツを積み上げると全体像としてどうなるかを検討する」という考え方を取るべき場面があるということです。
具体的には、自分が慣れ親しんでいない領域に踏み込むときはこの考え方をとった方がいいです。
例えば、
うちのカフェは、AI技術を用いて、どういうお店になるべきか?
といった検討をするタイミングです。
この場合の論点設計は、
うちのカフェは、AI技術を用いて、どういうお店になるべきか?
- お客様や従業員は、どういったカフェであってほしいと考えているか?改善すべき不満点はあるか?
- 現代のAI技術ではどういったことが可能か?どういった活用事例があるか?
- 論点①と論点②を突合させると、うちのカフェではAI技術により具体的にどういった施策を導入すべきか?
- 論点③の「AIによる具体的な施策」を積み上げた時、全体像としてどういったカフェになるべきか?
という感じになります。
「全体像のデザイン→個別具体の検討」という流れを取らないのは、自分が慣れ親しんでいない領域が絡むと非現実な理想だけが膨らんでしまい、現実との擦り合わせが難しくなるからです。
上記のカフェの例だと、
AI技術はよく分からないなぁ
でも、お客様一人一人に最適なコーヒーを出せる、パーソナルコンシェルジュのようなお店になれると良いよね!
表情や声色から、相手の気分・体調を推測して、コーヒー豆や温度、トッピング内容を変えるみたいな!
といった夢見心地なことを描いても、
現在のAIの技術じゃそこまでやるのは厳しいぞ・・・
やろうとしたら凄まじい費用がかかるし・・・
みたいなことが後から発生するのが関の山です。
カフェであれば、オーナーと現場の距離感が近いでしょうし
あー、まだAIには無理なのか
じゃあ目指すゴールを引き下げよう
とオーナーが柔軟に判断できるかもしれません。
一方で、一定規模以上の組織になると、
- 社長や経営幹部が「目指すべきゴール」を描き
- その実現は中間管理職が担う
といった運営がなされる場合も多く、この場合は実現不可能なゴールを設定された中間管理職が大変苦しむことになります。
また、最終的に出てくるアウトプットもかなりショボくなり、「お金を無駄にした・・・」ということになりかねません。
なので、こういう場合は
AIを使えば、売上予測がより精密になって、コーヒー豆の廃棄ロスが減らせるみたいね
とか
これまで電話で受け付けていたお問合せを、AIアシスタントに切り替えることができるなぁ
とか、「具体的に実現可能なこと」をまずは考え、
これらのパーツを組み立てると、全体としてどういったカフェを目指せるかなぁ?
と考えた方が無難です。
論点の順番によって最終的なアウトプットが大きく変わる、ということを感じていただければ幸いです。
理想的なメカニズム:強豪の吹奏楽部パターン
うちの吹奏楽部が全国大会の常連になるには?
- 「強豪であり続けている吹奏楽部」には一般的にどういったメカニズムが働いているか?典型的な成功パターンは?
- 論点①の理想的なメカニズム/成功パターンと、うちの現状を比較すると、どこがネックになっているか?
- 論点②のネックを解消するため、具体的に何をすべきか?
これは、目指すべき状態をどのように実現するかを検討する際に用いられる論点です。
前述の「あるべき姿のデザイン」と似ていますが、
- 前述の「あるべき姿のデザイン」は、特定の時間を切り取った”静的なゴール”
- こちらの「理想的なメカニズム」は、時間の流れも考慮した”動的なゴール”(=ダイナミクス)
を対象にしている点が異なります。
理想的なメカニズムとして、Amazonの循環図はかなり有名なので、見たことがある人も多いのではないでしょうか?
内容としては、
- ユーザーが喜ぶような価値を提供すると、顧客体験が良くなる
- 顧客体験が良くなると、Amazonの利用者が増える
- Amazonの利用者が増えると、Amazonで販売したいと考える事業者が増える
- Amazonで販売したいと考える事業者が増えると、品揃えが増える
- 品揃えが増えると、さらに顧客体験が良くなる
- 上記のサイクルが回って利益が出ると、それを原資にして投資ができるようになり、さらに顧客体験が良くなる
という”目指すべき好循環”を整理したもので、ジェフ・ベゾスが紙ナプキンに書いて説明していたことで有名です。
上記の論点設計の考え方はマーケティング戦略などの立案時に多用されてまして、例えば
うちのケーキはなんで売れないんだろう?
どうやったら販売数を伸ばせるかな?
と考えた際は、
- 売上は…
売上 = 購入者数 × 平均購入数@1人 × ケーキの単価 - ここで、購入者数は…
購入者数 = 店舗周りのエリアの人口 × うちのケーキの認知率 × 当店への来店率 × ケーキの購入率 × リピート率
とメカニズムをモデリングすると、
販売数を増やすには
- 周辺住民がうちのケーキを認知してて
- 当店への来店経験もあって
- うちのケーキを買ったこともあって
- 何回もリピートしてて
- 1回に買う数量も多い
という状態を作り出せばいいんだ!
と、理想的な状態が見えてきます。
その上で、
ウチの現状は、認知率は高いけど、実際に来店したことがある人の割合が少ない…
なので、いかに来店のハードルを下げるのかがポイントだ!
とか
大抵のお客さんは“一見さん”で、リピート率が低いな…
なぜリピートしないのか、顧客インタビューをしてみようかな
といった感じで、現状のボトルネックや今後の打ち手を考えていくことになります。
他にも、
SNSを通じてミュージシャンとして大成したい!
というときは、これまでSNS経由で有名となったアーティスト達のやり方を研究し…
まずは巷で有名になった曲の「歌ってみた動画」を継続して地道にファンを増やすか
ある程度のファンが付いたら、ボーカロイドで作曲している人とコラボして、オリジナル曲を出してみるか
それが成功したら、その実績をもとに、音楽プロダクションに自分を売り込んでみるか
みたいな感じで、典型的な成功パターンをなぞることができますね。
目標とのギャップからの方針決定:サッカーW杯の作戦パターン
サッカーW杯の決勝トーナメントに進むためには、1次リーグの最終戦であるドイツ戦をどう戦えばいいか?
- 日本にとって、1次リーグ最終戦であるドイツ戦の勝利条件は何か?
- 論点①の勝利条件は、現状の延長線上で達成できそうか?
目指すゴールと現状にどれだけのギャップがあるか? - 論点②のギャップを埋めるために何をすべきか?
- ❸-1. 日本はどういったスタンス/ポジショニングを取るべきか?
- ❸-2. 具体的に何をすべきか?
戦略策定のやり方は色々ありますが、一番の基本となる戦略策定の論点設計がこれです。
自分が達成すべき勝利条件を整理し、現状とのギャップを測った上で、そのギャップをどう埋めるかを考えます。
上記のサッカーW杯の例を見ていただければ分かるとおり、ギャップがどれだけあるかによって、取るべき方針はある程度自動的に決まってきます。
重要なのは、目標と現状のギャップを割り出して
ゴールは、現在の延長線上にあるのか、それとも非連続なジャンプが必要なのか?
を考えることです。
ビジネスを例に取りましょう。
あなたが大手企業の経営企画室だとして、
3年後に売上15%増を目指す!
という目標設定の場合は、現在の延長線上でもクリア可能と思われるため、「現在のやり方をより良いものにブラッシュアップする」という保守的なアプローチを取ることが基本です
一方で、
3年後に売上2倍を目指す!
という目標設定の場合は、非連続な成長が必要になるため、かなり無茶をしなければいけません。
少なくとも、現在のやり方にこだわっていても達成は不可能なので、「M&Aでそれなりの規模の会社を買ってくる」といった大技が取られることが多いです。
なお、ギャップを埋める方法を考える際は、「そのギャップを埋めるため、どの領域でどれだけの上積みを目指すか?」という論点も重要になりますので、覚えておくと便利です。
上記のサッカーW杯の例だと、残っているのは最終戦のみなので、この論点を考える必要はあまりありません。
一方、もし残り2戦(南アフリカ戦、ドイツ戦)が残っているなら、
残り2戦で勝ち点4をどうやって取るか?
南アフリカ戦で勝ち点3、ドイツ戦で勝ち点1を狙うべきでは。
といった形で、埋めなければいけないギャップをどのように各試合に振り分けるべきかから考え始める事になります。
対戦相手に応じた方針決定:将棋の3手1組パターン
この将棋に勝つには、どう戦えばいいか?
- 自分の次の一手として、有力な選択肢にはどんなものがあるか?
- 論点①の選択肢ごとに、対戦相手はどのように動いてくると想定されるか?
- 論点②の対戦相手の動きを踏まえると、次の1手候補のうち自分はどれを選ぶべきか?
こちらも戦略策定の際に使われる論点設計で、
相手の動きに合わせて、自分の動きを決める!
というものになります。
将棋における「3手1組」が典型例ですが、古今東西あらゆる場面で使われてきました。
ただ、この論点設計は、「相手の動きを予測する」という性質上、主要な対戦相手を少数に絞り込める時にしか使えません。
戦争などの軍事戦略が典型例です(軍事戦略においては、いくつかの仮想敵国を設定することになります)。
ビジネスにおいては、
- JALにとってのANA
- 任天堂にとってのプレイステーション(ソニー)
- 家電量販店にとってのAmazon
など、絶対的な競合がいる場合に用いられます。
なお、論点①の「自分の次の一手として、有力な選択肢にはどんなものがあるか?」では、次の一手の候補として「様子を見る」が常に存在することに注意してください。
つまり、何も前提を置かずに
このままだと相手はどう動いてくるだろう?
と考えることもあり得るということです。
ちなみに、論点②の「自分の選択肢ごとに、対戦相手はどのように動いてくると想定されるか?」については、前述した“目標とのギャップからの方針決定”を用いて、
対戦相手が満たしたい勝利条件は何か?
その勝利条件に現状を照らすと、対戦相手はどういうアプローチを取ってきそうか?
といった感じで動きを想定することになります。
相対性を踏まえた方針決定:勝算の高い就活の進め方パターン
就活を有利に進めるには、自分はどう動けばいいか?
- 自分は競争相手に比べ、どういった強み・弱みを持っているか?
- 自分や競争相手を取り巻く環境はどうなっているか?
自分にとって何が追い風になってて、何が逆風になってるか? - 論点①と論点②を踏まえると、自分はどのように備え、どのように戦えばいいか?
これは割と汎用性のある戦略策定の論点設計です。
考え方としては
自分がこうしたいから、自分はこう行動する!
とするのではなく
競争相手との関係性や、周囲の環境がこうなっているから、自分はこう行動する!
とするイメージです。
つまり、自分の相対的な位置付けから、どう動くべきかを考えることになります。
また、この論点設計の便利な点として、競争相手がたくさんいる場合でも使用可能な点が挙げられます。
つまりこの論点設計は
自分は競争相手と比べて、どういう時に強く、どういう時に弱いのか?
という(比較的)荒めの粒度感でも戦略を作ることが可能で、
競争相手は、具体的にどのように動いてくるか?
というレベルで厳密に考える必要はありません。
この論点の重要ポイントは、論点①の強み・弱みや、論点②の追い風/逆風の判定の仕方です。
論点①の強み・弱みにしろ、論点②の追い風/逆風にしろ、ファクトから直接導出されることはなく、あくまで自分が置かれている文脈と照らし合わせないと判別できないことは気を付けてください。
例えば、自社の戦略を考える場面で、
自社は全国津々浦々に支店ネットワークを持ってる!
という事実があったとして、これが強みなのか弱みなのかは文脈に照らし合わせないと答えが出ません。
「営業マンによるきめ細やかな訪問販売で売上増」を目指しているのであれば強みになりますが、
「固定費削減による経営のスリム化」を目指しているのであれば弱みになります。
他社は各地の業者に割高な外注をしながら事業運営している。
自社は自前ネットワークで低コストに事業運営をしている。
であれば強みになりますが、
コロナ禍の緊急事態宣言中で、支店を開けない
であれば弱みになります。
ちなみに、論点③の「自分はどのように戦えばいいか?」には基本的なセオリーがあるので覚えておくと便利です
- セオリーA:
自分が強いフィールドに、競争相手をどうやって引きずり込むか考える。
自分の方が弱いフィールドを、どうやって回避するか考える。 - セオリーB:
自分の方が強いフィールドでは、競争相手と正面からぶつかっていく(勝てるから)。
逆に、自分の方が弱いフィールドでは、正面からは行かないようにする(負けるから)。 - セオリーC:
自分の強みを使って、追い風に上手く乗れないか、もしくは逆風を上手く乗り越えられないかを考える。 - セオリーD:
追い風/逆風を踏まえ、自分の弱みをどういった優先順位で補うべきか、どこまで補うべきかを考える
参考までにセオリーAの事例を取り上げると、太平洋戦争が挙げられます。
太平洋戦争では、米軍は「中長期戦」を志向していました。
これは、米国の物量は日本とは桁違いで、長期戦になればなるほど戦況が米国に有利になっていくことが主な理由になります。
一方で旧日本軍からすると、長期戦になるほど不利になるので、短期決戦を目指すことになります。
タイムリミットが迫るほど、日本は“一か八か”のリスキーな作戦をとる事になるので、それに対して万全な体制を整備するよう米国は動く事になります。
起点からの逆算:一人暮らしの賃貸選びパターン
就職に当たって一人暮らしをする際、どの部屋を借りるべきか?
- 働き出したら仕事生活はどういったものになりそうか?
- 論点①で想定される仕事生活を踏まえると、住居(賃貸物件)にはどういった要件が求められるか?
- 論点②の「求められる要件」を満たした賃貸物件はどれか?
これは「より重要なもの」が決まった上で、それ以外のことを検討する際に多用される論点設計です。
既に決まっている「より重要なもの」を起点として、整合性が取れるように検討を進めることになります。
ビジネスにおける一番の典型例は”組織設計”です。
組織は戦略に従う!
という言葉がある通り、「どういった組織がいいか」についてはこれだけを単独で検討できるものではなく、必ず戦略と照らし合わせることになります。
つまり、
戦略を実行する上で、最も効果的・効率的な組織に変更するぞ!
と考えることが基本になるため、
今後の戦略では、「お客さま個々のニーズに丁寧に対応していく」という方針が出されている…
なので、お客さま対応を担う営業マンとカスタマーサポートは、人員を大幅に拡大しなければいけないだろう!
といった感じで、戦略を起点にして組織設計上の”要件”を整理し、それを満たす組織を具体的に考えることになります。
この考え方は色々なことに応用可能で、ほかにも例えば
今後の工場のキャパシティをどうしようか?
拡大しようか、縮小しようか?
と考えるときも、
経営計画では3年後には売上1.5倍を目指すと決まった。
売上を1.5倍にするには、X個の製品を販売する必要があるが、今の工場のキャパシティではX個なんて生産できない。
だから、X個生産できるように工場を拡大しなければ!
といった感じで考えることになります。
公務員の仕事関連だと
今後の保育園の設置をどうしようか?
増園しようか、縮小しようか?
といった検討の際に、上記の工場の考え方がそのまま使えるはずです。
オススメの書籍
今回の記事に関連したオススメの書籍は以下の通りです。
『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』
『イシューからはじめよ』
『論点思考』
『答えのないゲーム」を楽しむ思考技術』
『企業参謀』
おわりに
いかがでしたでしょうか?
お仕事の参考になれば幸いです!
論点設計のやり方についても記事を作成していますので、そちらもご一読いただければ幸いです!