こんにちは!
先日、「分類わけ/グルーピング」の種類について記事を書きました。
具体的なイメージが湧いたところで、今回は「分類わけ/グルーピング」の基本的な考え方・やり方についてご紹介します。
では、早速行きましょう!
分類わけ/グルーピングの根底の考え方
分類わけ/グルーピングをする際の大前提となる考え方があります。
それは、「グルーピングをするのは、各グループごとに対応を変える必要があるから」というものです。
逆にいうと、もし分類わけ/ グルーピングをしたとしても、対応が一律で変わらないのであれば、分類わけ/グルーピングは不要な作業だったということになります。
例えば、カフェの主人がお客様にアンケートを取って、その結果を分類わけし、
うちのお客様は、ほとんどが「専業主婦」と「シニア」のいずれかに分類されるのね
と分かった場合、
専業主婦とシニアでは、食事に対する好みは異なるだろうから、それぞれの専用メニューを追加するかー
と考えたり、
学生もメイン顧客に追加したいから、学生割引デーを毎月設定するかー
といった感じで、分類わけの結果に沿って打ち手を変化させていくことが重要です。
皆さんが分類わけ/ グルーピングをする際は、無駄な作業にならないよう、
この分類わけ/ グルーピングの作業をすることで、対応がどのように変わってくるんだろうか?
と自問自答しながら作業するようにしましょう。
もし「対応は一律のままだろう」ということであれば、不要な作業をやっている可能性があります。
分類わけ/グルーピングのプロセス
分類わけ/グルーピングをする際のプロセスは、「正しい」というものはなく、作業者が十人十色のやり方でやっています。
ただ、大まかなプロセスとして、
- 要素を洗い出し、似たような要素は1つの要素としてまとめる
- 切り口・分類項目を考える
- 要素を振り分ける
という感じになるのは、皆同じかと思います。
なので、このプロセスを基本として、それぞれのステップをご紹介します。
要素を洗い出し、似たような要素は1つの要素としてまとめる
まず、分類わけ/グルーピングの対象となる要素を洗い出します。
例えば、「保険業界でのAI活用事例」や「当店に通うお客様の意見」といった情報が要素になります。
そして、洗い出したそれらの要素の分類わけ/グルーピングに入る前に、似た要素を1つの要素にまとめて、要素数を減らせないかを考えることが重要です。
例えば、「保険業界でのAI活用事例」だと、
このA社の事例と、このB社の事例は、どちらも「保険引受の審査にAIを活用する」というものだから、まとめてしまおう
といった感じです。
また、「当店に通うお客様の意見」だと、
「エアコンが効きすぎている」という意見と、「膝にかけるブランケットがあると嬉しい」という意見は、「店内が寒い」という意味で一緒だな
といった感じです。
要素数が多ければ多いほど、後工程の分類わけ/グルーピングの難易度が上がるので、このステップを入れるかどうかで作業時間に雲泥の差が出ます。
切り口・分類項目を考える
分類わけ/グルーピングの切り口を考える際は、目的と照らし合わせることが重要です。
なぜなら、目的に応じて、「括り方」をどうするかがある程度は自動的に決まってくるからです。
例えば、ケーキ屋さんがお客様にアンケートを取って、その結果をもとに、
うちのお客様は、大半が「女子学生」と「シニア」のいずれかに分類される
といった分類をした時に、その分類は適切でしょうか?
もちろん答えは「目的がわからないと、適切かどうかを判断できない」です。
「うちのお客様のユーザー属性は?」を知りたかったのであれば、この分類は適切です。
一方で、「お客様はどういったニーズを持っているか?」を知りたかったのであれば、この分類は不適切です。
この目的であれば、情報を括る際は、「ニーズ」を軸にしなければいけません。
なので、その場合は、
うちのお店に通ってくれるお客様には、
- 「価格の安さ」を評価してくれている層と、
- 「品数の多さ」を評価してくれている層と、
- 「自宅からの近さ」を評価してくれている層
の3タイプがいるな〜
といった分類わけをしなければいけません。
以上のように、目的によって「分類わけ/グルーピングに切り口」が変わってくるので、目的は必ず確認するようにしましょう。
そして、その切り口に沿って、具体的な分類項目を考えていきます。
なお、分類の切り口を考える際は、個別の要素から帰納的に考えるのではなく、
この切り口なら、納得感があるだろう
といった感じで、はじめの段階で演繹的に分類の切り口を設定した方がいい場合が多いです。
そしてそれに個別の要素を当てはめ、分類の切り口を修正したり、もう一度はじめから切り口を考え直したりします。
例えば、ケーキ屋さんのお客様へのアンケートの分類わけ/グルーピングする際に、
ユーザーニーズを切り口にしよう!
と決めた後に、
ユーザーニーズには、4Pの観点から、
- 価格に関するニーズ
- 立地に関するニーズ
- ケーキなどの商品に関するニーズ
- お知らせ・宣伝に関するニーズ
があるのではないかな?
ケーキなどの商品に関するニーズには、さらに、
- メニュー数に関するニーズ
- 個別の商品に関するニーズ(ボリュームや味など)
に分けれらるだろう。
と決めていくイメージです。
もし個別の要素から帰納的に分類項目を考えると、頑張った割には「これおかしいよね」という指摘を受けやすく、十分なアウトプットに繋がりにくいです。
要素を振り分ける
あとは、要素を切り口や分類項目に沿って振り分けていきましょう。
ここで、迷いなく要素を振り分けできるならそのまま振り分ければいいですが、時々、
この要素は、どのカテゴリーに振り分けでばいいのだろう
と悩む要素が出てきます。
例えば、「保険業界向けのAIソリューションサービスの事例」を、
これは「保険商品開発プロセス」でのAIソリューション!
こっちは「保険引受審査プロセス」でのAIソリューション!
とプロセスに沿ってグルーピングしていた時に、
「商品開発から保険引受審査、問合せなどのカスタマーサポートまで一貫してサポートできる」
と銘打ったAIソリューションが出てきたら、
この事例は、どこのプロセスに分類すればいいんだろう…
と悩むことになります。
そういう場合は、「基準」や「定義」などを作業者が設定し、その基準などに沿って振り分けていくことになります。
例えば上記の保険業界に対するAIソリューションの例でいうと、
全プロセスを一貫してサポートできると銘打っているけど、このソリューションの一番の強みはどのプロセスに該当するんだろ?
一番強みのあるプロセスの事例として整理しよう!
と基準を設け、他にも「プロセス間をまたぐソリューション」が出てきたら、同じ基準で整理していく、といったことができます。
他にも、ケーキ屋さんが
女学生のケーキ屋に対するニーズを知りたい!
と思い、3人にインタビューした際に、
- Aさんは、価格の安さと、品揃えを重視
- Bさんは、価格の安さと、店の立地を重視
- Cさんは、価格の安さと、店の立地と、店の雰囲気を重視
という結果になった場合、女学生のニーズは結局何になるでしょうか?
この場合、
3人とも挙げている「価格の安さ」は、女学生のニーズと言えるだろう。
でも、2人が答えている(=1人は答えていない)「店の立地」は、女学生のニーズとして整理していいのかな?
といった疑問が出てきます。
そういう場合も、「二人以上が挙げたものについては、ニーズとして扱う」といった基準を設けることで、迷わず分類ができるようになります。
基準を設けてなお、どこに分類分けすべきか迷ったら、まずは
振り分け先は、ここに着目するとグループAだが、こっちに着目するとグループBだなぁ
と迷ってる部分を明確化し、
どちらの着目点の方が重要だろう?
と、重要性から優劣を付けて仕分けるしかありません。
分類わけ/グルーピングのヒント
私が実際に何度も分類わけ/グルーピングをやっていく中で発見した「ここを気をつけた方がいい」という細かいノウハウをご紹介します。
分類わけ/グルーピングの際のヒントとしてご活用ください。
難しいときこそ一旦手を動かす
分類わけ/グルーピングが複雑になればなるほど、頭の中でアウトプットイメージを持つことは難しくなり、色々と悩むことになります。
そういう時は、悩むのをやめて、さっさと手を動かし始めましょう。
手を動かしているうちに良い整理のアイデアが出てくることはよくあります。
思いついたことはどんどん紙に書き殴れば良いと思いますし、付箋や単語カードに要素を書き込んでそれを動かしながら考えるのも有効です。
紙などに書き出して可視化することで、脳のメモリを「記憶」などの無駄なことに割り当てず、分類わけ/グルーピングに100%費やすことができます。
まず手を動かして「完成度30点のアウトプット」を作りましょう。
そこまで行けば、一気に考えるのが楽になります。
「ピックアップ」をする時は取捨選択の記録をつける
大量のデータから特定のデータをピックアップする時は、「どういった類のものを拾い、どういった類のものを捨てたか」の具体例の記録を簡単にで良いのでメモしておくと良いです。
例えば、これから設立する新会社の人件費をシミュレーションするため、平均的な社員1人の人件費を算出しようとします。
その際、人件費の中には福利厚生費なども含まれてくるため、「平均的な社員は、どういった福利厚生費を受け取っているか」を検討する必要があり、福利厚生費一覧と睨めっこしながら、
家賃補助は、受け取ってる人が大半だよな。
この福利厚生費も受け取っているだろう。
でも、こちらの福利厚生費を受け取っている人は少数だろうから、平均的な社員は受け取ってないだろうな。
といった感じで、該当しそうな福利厚生費をピックアップしていくことになります。
こういったピックアップの作業は、1サイクルやっただけで完了することはほぼありません。
「一回ピックアップをしてみて、その仕上がりから修正すべきところを考え、またピックアップをやりなおす」といった感じで何回もサイクルを回すことになります。
その際に、1回目のサイクルで「どういった類のものを拾い、どういった類のものを捨てたか」の具体例の記録しておくと、やり直す時に非常に楽です。
私がピックアップをする際はいつも、PCで作業しながら、手元に紙のメモ帳を置いて、「どういった類のものを拾い、どういった類のものを捨てたか」をメモするようにしています。
参照先の整理がおかしくてもあまり気にしない
例えばリサーチにおいて、英語のレポートの概要を日本語でまとめる場合、英語レポートに「サマリ」という章が置かれているなら、当然そこを中心に日本語に翻訳していくことになります。
その際に、英語レポートの「サマリ」内が歪で変な整理になっている時が度々あります。
そういう時は、
日本語で概要をまとめる際は、私の方で綺麗な整理に直した方がいいのかな?
と思ってしまいがちですが、気にせず、その変な整理に従って日本語でまとめてしまいましょう。
上司に突っ込まれた時も、
確かに歪な整理かもしれませんが、元の英語レポートのサマリがそのような整理になっているので、一旦その整理に合わせました
と答えましょう。
英語のレポートのサマリと異なる整理をしたらしたで「なんで変えたの?」と突っ込まれることになるので、はじめは歪でも元レポートの整理に合わせた方が効率的です。
綺麗に分類わけできない時も多いと理解しておく
分類わけ/グルーピングをしていると、綺麗に分類わけできない時が多いことに気づきます。
特に定性情報を分類わけ/グルーピングしている時は、例外処理しなければいけないタイミングは必ず出てくると考えたほうがいいです。
例えば、市場で展開されているサービスをターゲット軸で分類わけしていると、
このサービスは、この領域をメインターゲットとしてるけど、他の領域にも食い込んでいるな…
といった感じで重なってるときが多いです。
そういう場合は、あえて「◯◯中心」や「XXXも扱う」と曖昧に書くなど、重複を許した書き方にすることが多いです。
他にも、個別要素を各カテゴリーに当てはめている際に上手くいかない時は、個別要素の書き振りを修正して当てはめやすくすることもあります。
もちろん、捏造に当たるような修正をしてはいけませんので、あくまで観点を変えるなどの文意を変えない範囲にしましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
お仕事の参考にしていただければ幸いです。